研究課題
貝殻真珠層類似構造のMAX相セラミック配向積層体を作製し、強度、靭性といった相反する力学特性の優れた材料系を提示することを目的とした。Ti2AlN配向体、無配向体を作製し、配向構造が諸特性に及ぼす影響について、力学特性、耐酸化性、摩耗特性について検討を行った。力学特性については、曲げ強度が1.33倍、破壊靭性値が1.66倍に向上し、結晶配向により向上することが確認された。また、高温曲げ強度についても、900℃において約700 MPaという非常に高い強度を維持していた。酸化試験では、酸化膜厚は配向体と無配向体で差異がなく、耐酸化性という観点においては、配向による特性の向上は確認されなかった。摩耗特性に関しては、配向構造により無配向体と比較して比摩耗量が減少し、特性の向上が確認された。また、SUS304を用いた試験ではTi2AlN側の損耗はほとんど見られず、高い耐摩耗性が確認された。Ti3SiC2系では10vol%Al2O3粉末を添加した系でも緻密な配向体を作製した。強度、靱性とも従来報告されている無配向体の値より大きく、配向により力学特性は向上した。試験後の破面をSEMで観察した所、Al2O3を添加した方が粒径が微細であった。600℃~1000℃の各温度での3点曲げ試験の結果、Al2O3添加配向体の方が各温度において曲げ強度が上昇し、Al2O3添加による力学特性の向上が観察された。また、Mo2Ga2C系において、3成分系ナノ層状炭化物系の新しい化合物の発見、従来MAX相のXは、CとNのみであったが、Bも熱力学的計算により安定相が存在することからB系MAX相の可能性もあることを示した。
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粉砕
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