研究課題/領域番号 |
26630375
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岡部 徹 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (00280884)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | スカンジウム / 製錬 / レアメタル / 溶融塩電解 |
研究実績の概要 |
スカンジウム(Sc)は、3族に属する活性金属の一つであり、現時点では、レアメタルの中でも“超マイナーな金属”である。生産量は、世界全体で年間10トン程度と極めて少なく、価格も非常に高いため、現時点では、需要は限定的である。しかし、資源的には豊富なレアアースの一つであるため、将来、生産量の劇的な増大と用途の大幅な拡大が予想される。 本研究は、電気化学的な手法を用いて酸化スカンジウムを直接還元し、金属ScやSc合金を製造する新しい連続製造法の開発を目的としている。平成26年度は過去に報告されているスカンジウムの製錬法をまとめるとともに、溶融塩電解用のセルや電極の設計を行った。また、塩化カルシウム溶融塩中で電気化学的実験を行うための各種ノウハウを蓄積した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度、溶融塩電解に関して種々のノウハウを蓄積し、塩化カルシウム溶融塩中で再現性良く電気化学的測定を行うことが可能となった。その一方、研究の過程で電極セルの改造が必要となったため、酸化スカンジウムを溶解した塩化カルシウム溶融塩の電気化学的性質については十分に解明できておらず、次年度に更なる調査が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度に得られた溶融塩電解に関する実験技術を用いて、酸化スカンジウムを溶解した塩化カルシウム溶融塩の電気化学的性質の解明を進める。種々の組成・温度の溶融塩浴について、不活性ガス雰囲気下でサイクリックボルタンメトリー測定などの電気化学的な評価実験を行うことで、塩化カルシウム溶融塩中における酸化スカンジウムの還元反応を調査する。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会での成果発表を次年度に延期するとともに、実験データ取りまとめのための人件費・謝金の支出を行わなかった。 そのため、当初の予定より、旅費と人件費・謝金の使用額が低くなり、次年度使用額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
平成26年度に生じた次年度使用額については、国際学会や国際ワークショップでの成果発表や海外の研究機関での技術討論に関する旅費として使用する予定である。 平成27年度分として請求した助成金については、当初の予定通り、溶融塩電解装置の保守・改造に必要な各種消耗品の購入費、試薬と高純度ガスの購入費、資源素材学会などの国内での成果発表のための旅費、実験データ取りまとめのための人件費・謝金として使用する予定である。
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