研究実績の概要 |
イオン性液体(IL)薄膜を活性種のアンカーに利用したマイクロハニカム状固定化触媒の開発への第一ステップとして,アミノ基を有するイオン性液体(Trihexyl(tetradecyl)phosphonium alanate, [P66614](Ala))をマイクロハニカム状シリカ(SMH)に固定化した材料(IL-SMH)を合成し,CO2の分離能評価を行った。まず,既報(Goodrich, B.F. et al.2011)に従って合成した[P66614]Alaをエタノールに所定量の濃度で溶解し,これを氷晶テンプレート法を用いて合成したSMHにその全細孔容量に相当する量含浸させ,その後乾燥する操作を繰り返し,最大50 wt%のILをSMHに固定化させた。IL固定化前後の試料にヘリウムを通過した際の圧力損失測定結果からIL固定化による直状マクロ孔の閉塞はなく,ILが薄膜上で固定化されていることが示唆された。一方,市販の粒子状シリカゲル(74-600μm)へIL固定化を試みた場合は, 44 wt%のIL固定化で粒子の間隙がILによって閉塞し,これをカラムに充填して使用することは困難であった。IL-SMH のCO2分離能を評価するために,回分式ならびに流通式でCO2分離試験を行った。IL-SMHと担体に固体化していないILへのCO2吸収能を回分式で評価した結果,IL単位重量あたりのCO2吸収速度はIL-SMHの方が数十倍速く,固定化の効果が確認された。また,CO2を吸収したIL-SMHは,窒素雰囲気下120 度で加熱処理することで容易に再生が可能であり,少なくとも4回再使用してもCO2分離能の低下はみられなかった。また,流通式でのCO2分離評価から,IL-SMHはモノリス体としての利用が可能であり回分式で得られた吸収容量に相当するCO2を効率的に分離できることが分かった。
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