本研究は,セルロースと無機塩化物の混合物加熱することによって,無機塩をスプリッティングし,塩酸のin-situ 生成あるいは低pH熱水の自動生成が起こるか否か検証することを目的とした。固体混合物の熱分解では,アルカリ金属,アルカリ土類金属の塩化物は,いずれもセルロースの熱分解を触媒し,脱水反応を促進すること,触媒作用はアルカリ土類金属のほうが著しいこと,金属カチオンと塩素イオンのスプリッティング進行(後者の揮発)を明らかにした。熱水中加熱では,pHが1.8~2.2の水溶液の生成とこれによるセルロース加水分解ならびにレブリン酸などの高付加価値有機物の高収率・選択的生成に成功した。
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