研究課題/領域番号 |
26630416
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
市川 創作 筑波大学, 生命環境系, 教授 (00292516)
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研究分担者 |
小林 功 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所, 主任研究員 (70425552)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 食品 / 消化 / マイクロギャップ / 微視的観察 / 微粒子 / 胃 / in vitro消化 / ヒト |
研究実績の概要 |
胃は物理的消化や化学的消化により、食品の微細化や食品成分の分解などが行われる重要な消化器官である。胃における食品の消化状態は、栄養成分の吸収にも影響すると考えられ、胃における食品の消化挙動を観察・評価することは、消化特性が制御された食品の設計・開発の基礎として有用である。食品の胃消化試験に関する既存の手法はマクロスケールであり、食品粒子の微視的な消化挙動を検討することは困難であった。本研究では、微小空間を利用し、食品の消化挙動を微視的にin vitroで観察・評価可能な新規な手法であるマイクロギャップ法を開発すると共に、この新規手法により食品粒子の胃消化挙動の微視的な解析を行うことを目的として検討を進めた。 研究初年度である今年度は、微小空間を利用して食品粒子のin vitro消化を評価するマイクロギャップ消化システムの開発を行った。マイクロギャップ基板を装備したホルダー、人工胃液供給部、胃消化物回収部、食品粒子の微視的挙動の観察部から構成される新規なマイクロギャップ消化システムを設計・構築した。マイクロギャップ基板は、マイクロメートルオーダーの段差(ギャップ)を有するマイクロチップを設計・製作し、食品微粒子をマイクロチップ内の微小空間に閉じ込めてその微視的な消化挙動を観察できるように工夫した。また、マイクロギャップ基板に透明平板に圧着させることにより、顕微鏡により食品粒子の微視的消化挙動を観察できるようにした。 作製したマイクロギャップ消化システムの微小空間に、タンパク質を含む固形実食品である豆腐微粒子の試料として閉じ込め、人工胃液を連続的に流入し、その消化挙動を観察・評価した。その結果、豆腐微粒子のサイズが経時的に減少する様子が観察され、本システムにより食品微粒子の胃消化挙動を顕微鏡で直接観察し、その変化を評価できることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度の研究実施計画の目的とした「マイクロギャップ消化システムの試作」、ならびに「マイクロギャップ消化システムを利用した食品粒子の微視的消化挙動の観察」を実施できたため。
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今後の研究の推進方策 |
研究初年度に作製したマイクロギャップ消化システムについて、様々な食品粒子の微視的な胃消化挙動の観察・評価に対応できる用、マイクロギャップ基板やモジュールの設計・改良を進める。また、マイクロギャップ消化システムによる食品粒子の微視的胃消化特性の観察・評価を進める。マイクロギャップ消化システムにおける食品粒子のサイズ変化や、表面近傍における微視的な消化挙動を経時的に観察し、食品粒子の素材と微視的な消化挙動の相関について検討する。また、食品の微視的胃消化挙動に対する消化実験条件の影響についても評価を行いたい。 以上、微小空間を利用して食品の消化挙動を微視的に観察・評価するマイクロギャップ消化システムの開発を進めるとともに、これを利用した食品の微視的な胃消化挙動の観察・評価を系統的に行い、胃消化特性が制御された食品の設計・開発の基礎となる知見を示したい。
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