研究実績の概要 |
1.スリットの本数の影響:300μm幅のスリットの本数を1,2,3,4本とした場合の粒子の透過に関して検討を行った。その際、スリットを通過する液流速を一定にするため透過流量をスリット本数に合わせて0.1, 0.2, 0.3, 0.4mL/minとし、交流電圧90Vpp, オフセット電圧を1.0, 2.0, 3.0VDCとして検討した。その結果、どの条件でも保持率は50%程度であり、膜透過の促進効果は見られなかった。 2.交流電圧およびオフセット電圧の影響:上述の条件で膜透過の促進が図れなかったため、同条件で、交流電圧120, 150Vpp, オフセット電圧5.0, 7.0, 9.0VDCの条件で膜透過実験を行った。その結果、交流電圧、オフセット電圧が共に大きい場合において膜透過が促進された。スリットの本数は1から4本まで検討したが、2本の場合が最も膜透過が大きく、透過率70%以上となった。なぜ、2本の場合の膜透過が促進されたのかは、今後解明する予定である。 3.細胞とポリ粒子の混合分離:細胞は保持液側、ポリ粒子は透過液側へ分離するための条件について検討した。今回は、基礎的なデータを得るためスリット数を1本として、様々な条件を変えて混合分離について検討した。スリット幅は100, 300, 500μmの3種類、周波数は1kHz~10kHz、交流電圧60Vpp, オフセット電圧1.0, 3.0VDCの条件で検討した。その結果、スリット幅300μm, 周波数10kHz、オフセット電圧3.0VDCの条件で保持率差が最大の25ポイントが得られた。スリット本数等、実験条件を改善することにより更なる保持率の差が期待できると考えられる。
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