研究課題/領域番号 |
26630417
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
箱田 優 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (00302456)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 誘電泳動 / 細胞分離法 / 直流重畳交流電圧 |
研究実績の概要 |
1.前年度までの結果を基にして、スリットの本数の影響について検討した。スリット幅300μm、スリット数2~4本の絶縁板を用いて10μmのポリスチレンビースの透過実験を行った。電場印加なしの場合には、保持率はスリット本数の増大に伴って60%~50%へ低下する結果であった。また、スリット本数が増えると膜透過が促進されることが立証された。電場印加した場合は、周波数1 kHz、交流電圧90 Vpp、オフセット電圧1.0~3.0 VDC、膜透過流量は1スリット当たり0.1 mL/minで透過実験を行った。その結果、オフセット電圧の増大とスリット本数の増大に伴って、僅かに保持率が低下し、保持率は20~30%の範囲であり、電場印加が膜透過を促進することが立証された。 2.異種細胞の分離について検討した。異種細胞はマウスハイブリドーマ細胞3-2H3細胞と馬赤血球を用いた。スリット幅100μm、スリット数2~4本の絶縁板を用いて行った。実験条件は、周波数1 kHz、交流電圧40~90 Vpp、オフセット電圧2.0~7.0 VDCであり、膜透過流量は1スリット当たり0.1 mL/min とした。その結果、スリットの本数による保持率の相違はほとんどなかった。3-2H3細胞は、スリット本数に依らず、交流電圧90Vpp、オフセット電圧2.0VDCの条件では80%以上の保持率が得られ交流電圧60Vpp、オフセット電圧5.0VDCと交流電圧40Vpp、オフセット電圧7.0VDCの条件では徐々に保持率は低下した。馬赤血球はスリット数、交流電圧、オフセット電圧に依存せず、50%の保持率であった。それら結果より、最適な条件は、スリット4本、交流電圧90Vpp、オフセット電圧2.0VDCの条件で、分離効率は30%の結果が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究計画におけるスリットの開口面積に関する検討を実施するため、スリットのレーザー加工を依頼したが納期が大幅に遅れたため、実験を実施できなかった。 今年度は、更なる分離効率の向上を目指してそれぞれのスリットの開口面積を大きくして実験を実施する。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの結果より、保持されるべき細胞は誘電泳動力により保持され、その保持率は80%以上となっている。一方、スリットを透過するべき対象物は、ポリスチレン粒子では20~30%であるが、馬赤血球では50%程度であり、両者の分離効率は30%となった。そのため、スリットを透過する対象物をより透過させることを目的として、スリットの開口面積の広い絶縁板を用いて検討する。絶縁板のスリットの種類は、開口面積を揃えるため、以下の3種類(①スリット幅500μm、スリット本数4本、②スリット幅300μm、スリット本数7本、③スリット幅100μm、スリット本数20本)として、それぞれの異種細胞の保持率、分離効率について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究計画におけるスリットの開口面積に関する検討を実施するため、スリットのレーザー加工を依頼したが納期が大幅に遅れるため、実験を実施できなかった。 今年度は、更なる分離効率の向上を目指してそれぞれのスリットの開口面積を大きくして実験を実施する。
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次年度使用額の使用計画 |
絶縁板のスリットを製作するためのレーザー加工費用と、その絶縁板を用いて異種細胞分離を実施するための費用である。
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