研究課題
H27年度(最終年度)では、昨年度に確立したTotal Culture Fingerprint法を用い、いくつか条件を絞り混む必要があったが、培養技術の最適化に必要な実験項目や、可視化技術の科学的意味の解明について検証を行った。具体的には、条件I(培養手技の差)として細胞塊の砕き方と異常コロニー除去能について、条件II(プロトコルの差)として播種密度の差について、条件III(基礎細胞環境の差)としてOn Feeder/Non-Feederの差およびコーティング材料(ビトロネクチン・iMatrix)の影響について、201B7株における応答性およびリアルタイムの培養プロファイルの差を定量的に比較し、Fingerprint法の汎用的な有効性について確認すると共に、研究ゴールでもあった指紋化の有効性について、生物学的な情報との相関性を検証した。結果として、各種生成コロニーの収量を比較した結果、iPS細胞コロニーの収率は「初期接着数」を左右する条件(砕き過ぎ、播種密度、コーティング剤の違い)が最も大きく収率に影響すること、培養5~7日後の収量の増減は播種後1日目で既に決定していることを明かにした。また、各コロニーのOCT3/4の陽性率を数値化し、各種培養条件を定量的に比較した結果、抗酸化ストレスが活性化するようなストレス(物理ストレスや培地への乳酸の蓄積)が培養プロフィールを大きく見出すことが分かった。また、条件Iについては異常コロニーの除去を意図的に減らした条件と増やした条件を、遺伝子発現および代謝産物の変化から比較したところ、形態の異常なコロニーの増加は、コロニーの遺伝子発現パターンと大きく連動しており、コロニーのエネルギー生産がミトコンドリア非依存的なものに変化することと相関していることが明かとなり、構築した可視化方法の感度および細胞品質との連動性を確認することができた。
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