研究課題/領域番号 |
26630433
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大政 健史 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00252586)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | バイオ医薬品 / チャイニーズハムスター卵巣細胞 / 細胞培養 / ケミカルシャペロン |
研究実績の概要 |
前年度に構築した評価系を用いて、様々な培養条件における凝集体の形成過程を解析し、これとケミカルシャペロンを用いた凝集体抑制効果について、引き続き検討した。 ①様々な条件下における凝集体形成過程解析:前年度に構築した評価法を用いて、細胞培養過程のどのステップにおいて、凝集体を形成しているのかを検証した。これまで、凝集体の形成は、分泌時に凝集されて生産される、生産後に凝集体形成が促進される、の2つの仮説があり、いずれなのかは明確には示されていなかった。凝集体形成時を正確に評価することはかなり難しいが、モデルをたてて、凝集体の培養中の経時変化や無血清流加培養時の添加物の凝集体形成に及ぼす影響についても解析し、一定の結論を得た。 ②ケミカルシャペロン添加による凝集体形成抑制解析:前年度に引き続き、ケミカルシャペロンの効果を検証する。特にトレハロースについては、通常は細胞内に浸透することは無いが、シャペロン効果を発揮するためには、細胞内への浸透量についても検証する必要がある。そこで、細胞内へのトレハロース取り込みに注目した。培地中に添加したケミカルシャペロンであるトレハロースは、濃度の上昇に伴って細胞内に取り込まれる可能性があるものの、明確ではない。そこで、さらに積極的にトレハロースを細胞内に輸送することにより、より抗凝集効果や、細胞増殖、生産等が改善される可能性がある。そこで、細胞内にトレハロースを取り込むトランスポーターに着目した。抗体生産性チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株に、トランスポーターを導入した細胞株を構築し、これを用いて生産性、凝集体形成について検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
検討した項目について、効果があるもの、無いものの見極めも行えており、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成26~27年度に構築した基盤を利用し、順次評価を行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に、細胞培養を用いた評価をさらに詳細に行うため、細胞培養用培地、評価用試薬、遺伝子解析用分析試薬などが必要であり、次年度使用額が必要である。
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次年度使用額の使用計画 |
細胞培養のための培地、得られた抗体分析のためのカラム、試薬、さらには遺伝子解析のための組換え用試薬、国際・国内学会における成果発表のための旅費等に利用する予定である。
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