研究課題/領域番号 |
26630435
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
原 正之 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50344172)
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研究分担者 |
森 英樹 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (30450894)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | mesenchymal stem cell / bone / photosensitizer / hematoporphyrin / rhodamine / reactive oxygen species |
研究実績の概要 |
研究の初年度にあたる平成26年度は、研究提案書に記載の「酸化ストレス刺激のための光照射制御部と光増感色素固定化フィルムの開発」に関して、①光照射部と制御プログラムの作製(担当:森)および、②光増感色素固定化フィルムの作製(担当:原)、に関する基礎的な検討を行なった。 光増感反応(photodynamic reaction)を利用して、HematoporphyrinやRhodamineなどの光増感色素(PS: photosensitizer)に可視光を照射した際に、照射部位に局所的に活性酸素(ROS: reactive oxygen species)を生じる為の条件の検討を行った。これらの色素は、可視光の照射により細胞培養用の倍地中でROSを生じる事を、p- Nitrodimethylaniline法(比色法)などの測定方法で確認・定量する実験を様々な条件で行い、光照射時間やPS濃度への依存性を検討した。 間葉系幹細胞(MSC: mesenchymal stem cell)は骨髄中などに多く含まれ、骨、軟骨、脂肪組織、などに分化可能な体性幹細胞である。本研究ではラット大腿骨の骨髄から分離したMSCを培養して、細胞へのROSの効果を確かめる実験に用いた。細胞の採取、培養については、以前より我々の研究室で行ってきた方法に準拠して行った(Takitoh, et. al., (2014) J. Biosci. Bioeng., 119, 217-225.)。 間葉系幹細胞(MSC)にROS刺激を与え、細胞数の変化やqRT-PCRで測定した遺伝子発現の変化をもとにして、ROS刺激に対するMSCの生死や分化能、増殖能に関する応答反応を解析した。これらの実験よりMSCが生存できる光増感色素濃度および照射条件等を求めることができた。光照射装置の材料の調達と制御部の作製に時間を要したため、予定より実験が予定より遅れた部分も有るが、次年度に実験を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
光照射装置の材料の調達と制御部の作製に時間を要したため実験はやや遅れ気味であるが、従来型の光照射装置を用いて基本的な実験を進め、27年度に行う予定であった実験の一部である間葉系幹細胞の生存や分化に関する応答反応に関するデータを収集した。そのため、次年度は速やかに細胞培養実験に移行できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
光の照射装置の作製とその制御について、H26年度に未達成の部分については、さらに研究を進めて目標を達成すると供に、当初よりH27年度の実験予定に記載のある通り、MSCへのROSの影響を調べる研究を進める予定である。また、iPS細胞を利用した実験もH27年度より行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験装置の開発に関するH26に実施予定の項目の一部が未達成で、H27年度実施に変更になったため、ならびに学会発表の旅費を他の予算から充当する事が出来た為。
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次年度使用額の使用計画 |
基本的には、研究申請時の計画にそって研究を進めるため、予算もその様に執行する。
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