本研究は,昆虫の翅の表面に見られる微小構造の空気力学的な機能を解明し,それに基づく空力制御デバイスを開発することを目的としている.そのため,100分の1気圧まで圧力を下げられる「低密度風洞」を使い,レイノルズ数に対する相似条件を満足した実験を実現する.ここでは特に微小な突起構造の影響に着目し,それらの寸法や配置を系統的に変えながら失速特性や揚抗比への影響を新規に開発した3分力天秤や感圧塗料を用いて定量的に評価した.さらには,これらの実験結果に基づき,超低レイノルズ数流れの制御に有効な「ミニフラップ」の有効性を調べ,剥離せん断層の間欠的な非定常性が揚力の増強に寄与していることを明らかにした.
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