研究実績の概要 |
先行研究でレーザー維持プラズマ(LSP)を用いた還元方法が研究されているが、LSPの超高温領域は密度が非常に小さく大部分のパウダーがLSPを迂回してしまい、還元されるアルミナの量は少量に留まっていると考えられる。そこで本研究では直接レーザー光を固体アルミナに照射し蒸発させるレーザーアブレーション法を用いた。LSPを介さないためエネルギーロスも少なく蒸発、還元量が大幅に向上することが期待される。 真空引きされたチャンバー内に円柱状のアルミナロッドを設置し、アルゴンを雰囲気ガスとして流しながら1kW級炭酸ガス連続発振レーザーから出力されたレーザー光を一度ビームエキスパンダーによりビーム径を拡大し、集光レンズにより集光してチャンバーのZnSe窓を通してロッドに照射した。アルミナロッドは、そのままレーザーを照射すると熱衝撃で破壊してしまったので、銅製のホルダーに差し込み支持することによって破壊を防いだ。 ロッドの半分のみ差込み、半分はロッドから突き出す突出型とロッドを全てホルダーに埋め込む型の2通りでアブレーションを起こしたが、発光分光によるとアルミ原子、イオンのスペクトルがほとんど見られず、どちらも十分な還元反応が起こっていないことが示唆された。測定された連続発光スペクトルにプランク関数をフィッティングして求めたガスの輻射温度は約5,100K~5,200Kで、アルミナの乖離温度である5,500Kに僅かに届いていないことがわかった。
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