従来の主たる酸化アルミニウムの還元法はホール・エルー法と呼ばれ、炭素電極を膨大に消費するため、地球温暖化防止およびエネルギー効率の観点から望ましくないため、還元剤を用いないアルミ精錬技術について学術的研究が非常に重要であると考え、無電極で一万度以上の温度を容易に得ることが出来る「レーザープラズマ風洞」という技術をアルミ還元の熱源として利用することを提案した。 連続発振のレーザー光を酸化アルミニウムに集光して熱解離させた後、超音速ノズルによって加速すると、アルミニウムと酸素はいわゆる凍結流の過程で常温以下まで冷却され、酸素を分離することができると考え、本研究では熱解離によるアルミ原子の生成量を飛躍的に向上させる方法についていろんなアプローチを試みた。アルミナ(酸化アルミ)パウダーをアルゴン気流に混合して、レーザープラズマにより加熱する方法は混合アルミナ量に対して5%の収量を達成していたが、収量そのものは多くないため、アルミナの固形ロッド表面にレーザーを集光し、発生するレーザーアブレーションにより収量アップを試みた。 真空中でのレーザーアブレーションでは酸化アルミナ蒸気を発生させただけでアルミの解離には至らず、このアブレーション気流にレーザーアルゴンプラズマを付加する方法は、アブレーション気流によりプラズマが吹き消されるという結果となりうまくいかなかった。しかしアルゴン雰囲気中でアブレーションガスを分光計測すると、多くのアルミ原子が発光していることが確認された。アルゴン雰囲気がアルミナの蒸気圧及び温度を高めて、あるいはアルゴンのラディカルにより気流中で解離反応が進んだものと推測できる。 収量の定量的な測定およびアルミの分離は今後の課題である。
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