研究課題/領域番号 |
26630450
|
研究機関 | 独立行政法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
船木 一幸 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (50311171)
|
研究分担者 |
堀澤 秀之 東海大学, 工学部, 教授 (30256169)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 航空宇宙工学 / 推進・エンジン / レーザー / マイクロスラスタ |
研究実績の概要 |
繰返しパルスレーザー光をイオン液体(推進剤)に照射して推力を得る、1mNクラス小型レーザー推進機の実験実証を行う。本研究では、過去に研究されてきたレーザーアブレーションスラスタ(金属などの固体ターゲットに短時間大強度パルスレーザーを照射してジェットを生成するタイプ)の欠点である推進剤供給方式を抜本的に改善する試みとして、不揮発性のイオン液体を容器に装填した状態で暴露してレーザーを照射する、新しいタイプの推進機を目指す。もしもレーザー周波数の変化に応じて線形に変化する推力特性が得られれば、レーザー周波数を時間変化させることで高速な推力スロットリングが可能となるため、衛星の精密姿勢制御へ応用可能であろう。 平成26年度は、小型レーザースラスタとレーザースラスタの推力測定に必要な推力測定スタンドの設計製作を行い、小型レーザースラスタの設計までを実施した。実験システムは、レーザー、イオン液体を装填した推進剤ターゲット(ポット)、推進剤ターゲットを搭載した振り子式推力測定スタンド、ならびに、振り子の変位を測定するレーザー変位計から構成される。ねじり振り子式推力測定スタンドは、直径60cmの真空チャンバ内に設置され、外来ノイズの影響を取り除いた精密な推力測定のため、真空チャンバを防振台の上へ設置して、真空チャンバ全体を防振したレーザースラスタ実験システムを構築した。また、コイルマグネット/静電アクチュエータによるスラストスタンド制御:微小推力測定用スタンドをフィードバック制御し、アクチュエータ制御量から推力を求めるための計測制御系を構築した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験システムの整備が順調に進んでいるため。
|
今後の研究の推進方策 |
H26年度に構築した小型レーザースラスタ試験システムを用いて、小型レーザースラスタの推力特性の把握と、推力発生メカニズム解明へ向けた試験を実施する。H27年度の具体的な実施項目を以下にまとめる。 1)推力特性の把握:ターゲット厚さ、焦点距離、レーザーパワおよび環境条件(真空度や推進剤温度)が推力に与える影響を評価する。推力特性は、レーザーパワ密度や推進剤までの焦点距離に強く依存することが予想されるため、これらの推力に与える影響について調査する。また、単位時間あたりの重量欠損も評価して、スラスタの比推力特性も調べる。 2)コイルマグネット/静電アクチュエータを利用したスラストスタンドによる推力ノイズ測定:ある種のミッションでは、姿勢制御用スラスタの推力安定性が求められる。推力ノイズは、推力の時間履歴をFFT解析する事で得られるので、推力評価が順調に進むようならば測定を試みる。 3)推力発生メカニズムの解明:レーザーを推進剤ターゲットに照射中に発生する原子放射を直接確認するなどの各種測定(粒子、プラズマ、温度等)を行い、これらの計測データを基に推力発生メカニズムを解明する。 4)システム化検討:本提案によるレーザースラスタの実現可能性や、衛星姿勢の精密制御用スラスタとしての実現性をまとめる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
スラスタの製作・試験はFY27の実施としたため
|
次年度使用額の使用計画 |
スラスタの製作・試験費用として使用。
|