研究課題/領域番号 |
26630451
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
川村 恭己 横浜国立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50262407)
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研究分担者 |
宮路 幸二 横浜国立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60313467)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 材料・構造力学 / 流体 / 不確定性解析 / 応答曲面 / 構造・流体 / PCE |
研究実績の概要 |
本年度は、PCE(多項式カオス展開)による応答曲面を用いた、構造・流体に関する問題について不確定性解析の手法の適用性を検討した。 構造解析分野においては、応答曲面近似を用いた構造問題のintrusiveな不確定性解析手法の検討を行った。まず簡単な1次元のはり問題について本手法の有効性を確かめた後、圧縮平板の大たわみ問題、及び、有限要素法の静弾性問題への適用を検討した。圧縮平板の大たわみ問題では、応力関数とたわみ量に関して不確定性を考慮した近似応答曲面を仮定することにより、近似関数の係数に関する微分方程式を導いて、その有効性を示した。有限要素法の静弾性問題への適用においては、形状寸法に不確定性を有する問題の検討を行った。形状のばらつきによる有限要素メッシュの節点のばらつき(移動量)を確率変数の一次式で表現するとともに、有限要素方程式の変位関数を近似応答曲面で表現することにより、多変数(多自由度)の有限要素方程式を導いた。本手法は、ばらつきがそれほど大きくない場合には有効であるが、ばらつきが大きくなると、有限要素方程式内のヤコビアン行列式の近似精度が悪くなるため、今後の改善が必要であることがわかった。 流体分野においては、複雑な流体問題への適用に向けて、まずはモデル方程式(バーガーズ方程式)に対して、Non-intrusiveとintrusiveなPCE手法の開発と有効性の検討を行った。特に、バーガーズ方程式の境界条件に不確定性を有する場合について、一般化したIntrusiveな不確定性解析の定式化を導くとともにその数値解析を行った。提案した手法は、不確定性評価に有効ではあるが、特殊な条件の問題に対しては、近似次数を上げても不確定性の推定精度が向上しない場合があることがわかった。今後は、これらの欠点を克服するための工夫が必要であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
構造問題に関しては、当初の予定通り、PCEによる応答曲面を用いた不確定性解析に関して、圧縮平板の弾性大たわみ問題、および、有限要素法の静弾性問題に適用することができた。有限要素法への適用にはまだ困難な点があり改善した手法の検討が望ましいことがわかったが、おおむね研究は順調に進んでいると考えられる。また研究成果に関しても講演論文への発表を行うことができた。 流体問題については、今年度はバーガーズ方程式に本手法を適用することにより、その有効性と手法適用の際の問題点について知見を得ることができた。問題点の解決法に関してもすでに検討を始めており、おおむね順調に進んでいると考えている。 また、構造問題、流体問題ともに、問題点の解決手法の検討と共に、他の問題への適用方法の検討を始めており、全体としておおむね順調に進展していると判断する
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今後の研究の推進方策 |
構造問題については、有限要素法への適用に困難な点があることがわかったので、その解決のための手法を検討していく。具体的には、有限要素方程式の導出においてヤコビアン行列式の近似を行わずに方程式を構築する方法を検討していく。また、他の構造問題への適用として、振動解析・座屈解析等の固有値問題の不確定性解析の定式化を検討していく。 流体問題については、バーガーズ方程式へ適用した際の問題点を解決するために、近似応答曲面として区分的近似関数を適用することを検討する。また、他の流体問題への適用例として、N-S方程式への適用や、抵抗係数に不確定性を有する航空機の軌道推定の不確定性解析手法を検討していく予定である。
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