平成27年度には,「画像撮影用の治具製作・調整」,「開水路を用いたバイオフィルム付着計測」,「バイオフィルム付着への流動場影響の考察」および「計測機の試設計」を実施した. 「画像撮影用の治具製作・調整」では,平成26年度に構築した撮影系(小型CMOSカメラのレンズに偏光フィルタを取り付け,偏光状態を変化させて撮影できるようにした撮影系)で開水路底面に付着したバイオフィルムを観測できるよう,箱メガネ式の撮影治具を設計・製作した. 「開水路を用いたバイオフィルム付着計測」では,構築した撮影系を用いて開水路内に付着したバイオフィルムの計測を実施した.まず開水路内の流れの様子を把握するため,粒子画像による流速測定を実施した.水路内の水に微小粒子を混入させてレーザー光源で照射し,流れとともに移動する粒子の運動をビデオカメラで撮影して画像解析により流速を測定するParticle Image Velocimetry(PIV)を行い,水路内の流れを調査した.次いで,開水路内の水を1ヶ月程度循環させ続け,底面に生じるバイオフィルムを観測した. 「バイオフィルム付着への流動場影響の考察」では,開水路内底面に設置した障害物(半円柱型など)に付着したバイオフィルムの分布から,バイオフィルムが付着しやすい流れの条件について考察した.例えば,半円柱型障害物では,流れの上流側の半面にはバイオフィルムが付着する一方,下流側の半面にはほとんど付着がなかった.これは,半円柱の上流側は水の流れがよく当たるため,循環している水の中の微生物が障害物に付着しやすくなるためであると考えた(半円柱の下流側では水の流れが流れ去るため,微生物の付着や表面への定着が起こりにくい). 「計測機の試設計」では,本研究に使用した機器や治具の仕様を基に実船舶での適用可能性を検討した.
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