研究課題
ナノ流体を用いた原油生産向上のメカニズムのについて調べた.ナノ流体の濃度を大きくすると,原油の生産効率は上昇するが,すぐに減少方向に向かい,今回用いたナノ粒子の場合,5 wt%あたりに最適値が存在することが確認された.ナノ流体を添加した場合,ブレイクスルー後の生産の低下が抑制され,長時間かけて生産が継続されることにより,回収効率の向上が達成されている.このとき,多孔質の内部に残留する油胞のクラスターサイズも細分化されており,界面張力の低下による油胞の細分化が継続的な生産に寄与していることが分かった.将来のデジタルロック技術に向けた数値解析の技術開発を行うために,CT画像からデジタルロックを生成し,ポアスケールの多相流解析および濃度分布解析を行った.特に,本年度は実験的により取得された多孔質内部の物質輸送現象を数値的に解釈することを目指し,実験と同一条件,同一多孔質を用いた数値シミュレーションを行った.X線CTにより取得したプラスティック粒子充填層に対する数値シミュレーション方法の開発を行った.昨年度までに開発した,トラップ状態計算,流動場計算,移流拡散現象計算の3段階計算を行い,物質輸送現象における局所的な流動現象の影響について明らかにした.すなわち,多孔質内部にトラップされている非湿潤相は物質輸送(溶解)により,飽和率が低下するが,低飽和率にて物質輸送が抑制される現象が観察される.従来,この現象の説明はなされていないが,数値的なアプローチにより,多孔質内部の移流が非活発な領域があり,ここにトラップされた非湿潤相が長く溶解せずにとどまるため,いわゆる二重フロントを形成することが明らかとなった.
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 3件、 査読あり 4件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)
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