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2014 年度 実施状況報告書

リチウムイオン電池などからの炭酸リチウムの回収率の向上

研究課題

研究課題/領域番号 26630467
研究機関関西大学

研究代表者

芝田 隼次  関西大学, 環境都市工学部, 教授 (70067742)

研究分担者 村山 憲弘  関西大学, 環境都市工学部, 准教授 (90340653)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワードリチウムイオン電池 / 湿式処理 / 炭酸塩沈殿 / 炭酸リチウム / 非水溶媒 / 選択的浸出 / 溶媒抽出 / マスキング
研究実績の概要

本研究は、リチウムイオン電池の焼成・粉砕物からのリチウムの選択的浸出や選択的溶媒抽出、有機相からの炭酸リチウムの晶析剥離による回収について検討するとともに、非水溶媒を用いた炭酸リチウムの晶析によるリチウムの回収率の向上をめざしている。リチウムイオン電池の正極活物質に着目し、還元焙焼-リチウムの選択的浸出-炭酸塩沈殿法の一連の処理プロセスの適用について検討を行った。
リチウムの選択的浸出に最適な焙焼条件を調べた。正極活物質に活性炭などの還元剤を添加して窒素雰囲気下で焙焼すると、正極活物質中のリチウム成分は炭酸リチウムに変化した。正極活物質の焙焼物に対して水または希薄な酸で浸出すると、リチウムを選択的に浸出できることを明らかにした。リチウムは炭酸塩として回収されることが多いため、炭酸塩沈殿法による回収を検討した。メタノールのような非水溶媒を添加することにより塩類の溶解度は著しく低下するという現象を利用した。炭酸塩の濃度、アルコールの種類、アルコール濃度およびリチウムイオンの初期濃度を変化させて試験を行い、最適な炭酸リチウムの沈殿条件について検討した。非水溶媒としてメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトンなどを添加することにより、炭酸リチウムとしてのリチウムの回収を試みた。炭酸塩沈殿に関する実験結果から、アセトンとIPAを添加するとリチウムの回収率を大きく向上できることを見出した。一連の試験結果から得られた条件を基にして、正極活物質からのリチウムの分離・回収プロセスの提案することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

交付申請書に記載した検討項目について、概ね予定通りの研究成果が得られた。特に、リチウムイオン電池の還元焙焼条件とリチウムの浸出率の関係を明らかにしたことは工学的価値が高いと考えられる。炭酸塩の沈殿率におよぼす非水溶媒の添加効果についても数多くの実験データを蓄積することができた。リチウムの沈殿率と溶媒の誘電率との間に相関関係が見出された点は大変興味深いと考えている。リチウムの回収率向上への可能性が示されたと評価している。

今後の研究の推進方策

最終年度にあたる今年度では、本技術の装置化や実用化を念頭に置いた工学的検討を行う予定である。例えば、炭酸塩沈殿プロセスフローの解析や蒸留による非水溶媒の回収プロセスの検討などを化学工学的観点から行うことを計画している。最終的には、これまでに得られた一連の知見を総括して、乾式処理、湿式処理を駆使した使用済みリチウムイオン電池からの高効率リチウム回収プロセスを提案するところまで研究開発を実施したいと考えている。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 非水溶媒添加法によるリチウムイオン電池浸出液からのLiの回収2014

    • 著者名/発表者名
      椋田裕行,村山憲弘,芝田隼次
    • 学会等名
      環境資源工学会,第133回例会ポスター発表
    • 発表場所
      岩手大学
    • 年月日
      2014-11-13
  • [学会発表] 晶析剥離法によるリチウムイオン電池浸出液からのLi+の濃縮回収2014

    • 著者名/発表者名
      安田恵太,村山憲弘,芝田隼次
    • 学会等名
      環境資源工学会,第132回例会ポスター発表
    • 発表場所
      関西大学
    • 年月日
      2014-06-05

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公開日: 2016-05-27  

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