研究課題/領域番号 |
26630469
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
飯尾 俊二 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 准教授 (90272723)
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研究分担者 |
筒井 広明 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 准教授 (20227440)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | トカマク / プラズマ着火 / MHD平衡 / 磁気面 / 摂動磁場コイル / ECR / 電流分布 / MHD不安定性 |
研究実績の概要 |
本研究で使用予定の小型トカマク装置のトロイダル磁場コイルの通電試験と、真空容器の排気テスト・リークテストおよびベーキングを実施した。また、完成間近の小型トカマク装置において、マイクロ波発振源 (2.45 GHz, 4.5 kW) を用いた電子サイクロトロン共鳴(ECR)よるプラズマ生成を実際に確かめた。さらに、55 kW誘導電動機に弾み車を組み合わせたフライホイール電源を、コイル電流制御のDCチョッパと発電機制御のインバータで構成して、1秒間を超えるトロイダル磁場発生し、その間ECRプラズマを維持できることも実証した。
小型トカマク装置が未完成なので、摂動磁場コイルの検討を深化させた。垂直磁場と組み合わせてコイル系のみで形成される閉じた磁気面形状を磁力線計算により調査するとともに、3次元MHD平衡解析コードVMECを使用して、プラズマ着火後のMHD平衡の時間発展についても調べ、摂動磁場コイル設計の最適化を行った。また、実験で得られるMHD平衡を再構成するための磁気センサーである磁束ループと磁気プローブをリミター構造物と組み合わせ、真空容器内に設置するのに支障がないことを確かめた。
プラズマに電流が流れているMHD平衡についてVMECで計算すると解釈に悩む解が得られる場合があったため、軸対称な配位で2次元MHD平衡解析コードTSCを用いた計算と比較を行い、VMECを用いた計算の妥当性を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
実験を行う小型トカマク装置が以下の理由で平成26年度中に完成しなかったため。 1)トーラス中心部に鉄芯と1次側コイルのスペースを確保するために、トロイダル磁場コイルとして、平角銅線をエッジ巻きし、トーラス外側部だけで支持する構造としたところ、定格通電でポリカーボネート製支持材を固定するリング状の天板がコイルに働く電磁力でめくれるような動きをし、ポリカーボネートのボルト穴のネジ溝にひびが入った。この問題に対処するために、天板に直交するリングとリブを溶接付けする必要があり、2ヶ月以上の中断があった。 2)そのため、マンパワーを投入できる春休みに、トロイダル磁場コイルと真空容器を一旦分解し、鉄芯を加えて装置を組み立てることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
摂動磁場コイルを特注で製作して真空容器外部に取り付けを行う。トロイダル磁場コイルと同様に、巻線は平角銅線をエッジワイズ曲げで製作する。 小型トカマク装置が完成次第、実験を開始し、外部コイルによる閉磁気面の有・無で周回電圧は変化するかどうかを調べる。周回電圧は近似的に、プラズマ境界に一番近い磁束ループの電圧で検出できる。さらに正確には、MHD平衡解析で再構成されたプラズマ境界のポロイダル磁束変化率から、周回電圧を算出する。プラズマ着火の直後は磁束ループで周回電圧を直接計測し、電流の立ち上げでプラズマによる軸対称磁場が支配的になれば、MHD平衡計算を優先する。 閉磁気面の位置や大きさにより、初期プラズマの生成位置と大きさが変化する事を確認する。初期プラズマ生成の様子は、接線方向の高速カメラにより可視光領域で観測する。 さらに、電流分布のプラズマ中心や表面への局在化により, MHD不安定性が誘発されないかどうかどうか調べる。前述の磁気計測によるMHD平衡解析から、内部インダクタンスを評価する。精度よくMHD平衡解析を行い、シャフラノフ・ラムダからポロイダル・ベータを分離すれば、内部インダクタンスを評価できる。また並行して磁気プローブ・アレイを製作する。プラズマ内部に挿入してポロイダル磁場の分布を計測すれば、電流分布を直接計測できる。
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次年度使用額が生じた理由 |
高速度カメラを購入する予定であったが、実験を行う小型トカマク装置が完成しなかったため写り具合を試して機種を選定することができなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
高速度カメラを購入する。
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