1. 有限要素法による波動伝播解析に運動論的効果を取り入れるため,積分形誘電率テンソルの定式化を行った.マクスウェル速度分布に対する積分形運動論的誘電率テンソルを,有限要素法を用いた1次元波動伝播解析(TASK/W1)に適用して波動伝播解析を行い,O-X-B モード変換(正常波→異常波→電子バーンシュタイン波)による電子バーンシュタイン波加熱を記述できるようになった.励起アンテナの負荷インピーダンスの入射角依存性を調べ,解析的に求められた最適入射角において,負荷抵抗が最大となることが示された. 2. 電子バーンシュタイン波の2次元伝播解析を目指して,有限要素法を用いた2次元波動伝播解析コード(TASK/WF2D)の整備を行った.まず冷たいプラズマモデルを用いて,電子サイクロトロン波の遮断層における反射,透過,高域混成共鳴層における吸収の解析(O-Xモード変換)が可能になった.引き続いて,マクスウェル速度分布に対する積分形運動論的誘電率テンソルを導入し,トカマクプラズマの水平面内における O-X-B モード変換の空間構造を示すことができるようになった.また,粒子シミュレーションによる運動的解析との比較も行った. 3. 不均一プラズマ中において波動との相互作用による速度分布関数の変形を定量的に解析するため,積分形の準線形速度拡散係数の定式化を行い,速度分布関数解析コード(TASK/FP)に実装し,電流駆動効率の評価を行った.さらに速度分布関数の変形を取り入れた時間発展解析を行うため,任意の速度分布関数に対する運動論的誘電率テンソルの定式化を行った. 4. 開発した手法の適用範囲を拡張するため,イオンサイクロトロン周波数領域およびドリフト波周波数領域の波動に対する積分形運動論的誘電率テンソルの適用を検討した.
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