研究課題/領域番号 |
26630478
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山村 朝雄 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (20281983)
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研究分担者 |
永井 満家 東北大学, 金属材料研究所, 技術専門職員 (00724733)
永田 晋二 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (40208012)
李 徳新 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (40281985)
白崎 謙次 東北大学, 金属材料研究所, 技術専門職員 (70447176)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ハイドロフルオロカーボン / 福島第一発電所事故 / 汚染水 / 液体抽出法 / ストロンチウム / セシウム |
研究実績の概要 |
Vertrel MCAを希釈剤、0.02M DCH18C6を抽出剤として含む有機相をSr等を含む水相と振盪温度25度で接触させて抽出実験を実施。酸性水溶液では、硝酸濃度2Mに対して分配比D(Sr) = 2.6であり、硝酸濃度が高くなるとD(Sr) は低下した。温度依存性について検討したところ、温度が低くなると上昇した。Srイオンの選択性は、Kに対してD(Sr)/D(K) = 5-7、他の金属イオン(M = Ca、Mg、Na、K、Cs)に対してD(Sr)/D(M) = 10の2乗 - 3乗の値を示した。補助剤として0.02M PFTOUDAを含む有機相を用いた場合、中性の硝酸塩水溶液に対してD(Sr) = 6.11と酸性水溶液の2.3倍であり、PFTOUDA濃度が高くなるとD(Sr) は上昇した。Srイオンの選択性は、Kに対してD(Sr) /D(K) = 1、他の金属イオンに対してD(Sr) /D(M) ~ 10の2乗の値を示した。 酸性水溶液、中性水溶液からのSrイオン選択性を評価した結果、アルカリ土類金属(M = Ca、Mg)に対して酸性水溶液、中性水溶液からのSrイオン選択性を評価した結果、D(Sr) /D(M) = 10の2乗 - 3乗の値であり、十分な分離であることが判明。水溶液を酸性とした場合、Srイオン選択性はKに対してD(Sr)/D(K) = 5-7と高いが、分配比D(Sr) = 2.6と低く天然由来のSr(8mg/L程度)に加えて放射性Srを放射性がない程度まで完全に抽出するには、数段の工程を要する。中性水溶液からのSr抽出を行う場合、Kイオンのマスキング処理が必要であるが、分配比自体はD(Sr) = 6.11と高い(PFTOUDA濃度を高めると更に高くなる)ため、酸性水溶液からの抽出工程と比較すると段数を低減することが可能である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.二次廃棄物を生じないCs、Sr液体抽出除染法 「Cs、Srの除去に関する研究」海水中にはCsはほぼ含まれないが、Srは8mg/L溶存している上に、マグネシウム(Mg)とカルシウム(Ca)がSrの各200倍と50倍溶存している。汚染水中には海水が混合しているため、同族元素からの選択的抽出法の開発は不可欠である。本研究で検討している抽出剤はCs、Srに高い分配率を示すが、HFC系での相互溶解性、分配率については不明である。そこで、希釈剤としてパートレルを用いてアルカリ金属、アルカリ土類金属を選択的に抽出できる抽出剤と実験条件の検討を行った。
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今後の研究の推進方策 |
1.二次廃棄物を生じないCs、Sr液体抽出除染法 「多元素抽出工程のための基礎研究」現状のALPSでも62核種について告示濃度限度以下にすることを求められているが、単一抽出剤による溶媒抽出ではこの要求を満たすことは難しいため、本研究においても多段の溶媒抽出ユニットによる多元素除去の検討は必須である。ウランやプルトニウムの抽出に用いられるTBP、Cs、Srの抽出に用いられるTOPO、TOA、TBPに代わる抽出剤として期待できるCMPOによる多元素の溶媒抽出を検討し、分配率を明らかにする。 2.汚染水からの放射性核種の除染プロセス 「条件設定とプロセスの設計」現状のALPSに代替可能なシステムを実現するためには、上述(I)で、行った検討を基礎として、水溶液の液性を考慮した多元素抽出工程を構築する必要がある。ここでは、抽出剤の組み合わせ、各元素の抽出の順序の最適化を検討する。さらに、汚染水や、高濃度塩のRO処理水(濃縮され塩化物イオン濃度は13,000ppm)からの目的元素の選択的抽出を検討する。
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