研究実績の概要 |
本研究では、放射性金属核種を長期安定に保持できる新しい手法の構築を目指し、カーボンナノチューブ(CNT)内に金属核種を内包・固定化したナノコンポジット材料を作成しうる超臨界水熱合成法の研究開発を行うものである。本年度は、単酸化物ナノ粒子の合成と、これら単酸化物とCNTとのナノ材料合成、および合成した化合物のキャラクタリゼーションを実施した。具体的には、ウランや3価ランタノイド元素を含む硝酸水溶液を、バッチ式水熱合成システムを用いて超臨界水熱処理を行って、イオン濃度、酸濃度、反応時間・圧力、保持時間等に対する依存性を調べた。反応後、急速に減圧・冷却することで得た沈殿物をSEM, XRD等で計測し、粒子の形状,粒径,組成を解析して、粒子生成条件を検討した。その結果、Ce(III-IV), Pr(III-IV), Tb(III-IV)のように、価数の変化を起こすことのできる金属イオンは、超臨界水熱処理によって酸化物ナノ粒子として沈殿し、それぞれCeO2蛍石型立方晶、PrO2角型結晶、TbO2針状結晶となることを見出した。一方、500℃程度では価数変化を起こさないNd(III)やSm(III)のような金属イオンでは、酸化物ナノ粒子化しないことを見出した。また、超臨界処理後の溶液中の亜硝酸及び硝酸濃度を定量した結果、価数変化を誘起する酸化・還元剤は、硝酸水溶液の高温処理により生成する亜硝酸であることが分かった。
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