研究課題/領域番号 |
26630482
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
塚原 剛彦 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 准教授 (10401126)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 放射性廃棄物処理 / ナノ材料合成 |
研究実績の概要 |
放射性廃棄物を長期安定的に保管・管理する技術の確立は緊縛の課題である。本研究では、核種を一時的に保管・取出できる新しい技術の構築を目指し、カーボンナノチューブ(CNT)内に金属核種を内包・固定化したナノコンポジット材料を作成するための超臨界水熱合成法の構築を目指すものである。本年度には、硝酸ウラニル水溶液に対するバッチ式超臨界水熱合成試験を実施し、得られた生成物の特性をXRDにより調べた。その結果、超臨界水処理によって、UO2(OH)2、UO3、U3O8等のウラン酸化物が生成するが、それらの生成率は硝酸濃度や反応条件(温度・圧力・時間)によって変化することが分かった。また、これら生成物のSEMを実施したところ、低い硝酸濃度・短い反応時間では有意な結晶生成は観測できないが、硝酸濃度と反応時間の増加に伴って、プレート状・棒状あるいはフィルム状の均一な結晶が生成していることが分かった。反応条件の変化に応じて、これら結晶の量・形状も変化した。さらに、超臨界条件下での硝酸水溶液のUVスペクトル測定を行い、200℃以上から硝酸のピークは消滅して、HNO2やNO2に帰属できるピークが出現することを見出した。これらの結果から、硝酸ウラニルの超臨界水処理においては、単純な加水分解反応や酸化反応だけでなく、水の解離に伴って生じる水素によってU(VI)からU(V)やU(IV)への還元反応が進行していることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
超臨界水熱合成試験の結果、ウランやランタノイドの酸化物化の条件を解明すると共に、その反応機構を明らかにすることに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
超臨界水熱合成試験の結果、ウランやランタノイドの酸化物化の条件を解明することができた。これら金属酸化物とCNTとのナノコンポジット化について集中的に検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は核燃料物質であるウランの超臨界水熱処理試験を実施したため、試験に用いた器具類が汚染した。除染に時間が必要となるため、カーボンナノチューブを用いた試験を次年度に実施するよう、研究計画の見直しを行った。このカーボンナノチューブに係る費用分、使用額が変更となった。
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次年度使用額の使用計画 |
カーボンナノチューブに係る試験を実施するため、次年度に使用する。
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