2種の熱電素子の外形が共に斜方体である「斜体素子」を用いて熱効率の良い熱電発電が可能ならしめることを目的とした。このため材料特性の方位依存性、温度依存性と熱収支を考慮した計算機設計を行った。斜体素子の試作とモジュール化を視野に入れ、磁場での利用、熱流体利用などへ応用できるような熱電発電を企画設計した。 斜体素子を並べたモジュールは、結晶方向に強い依存性を持つ材料、および温度依存性を持つ材料に適用できる。最適な熱収支を考えるとモジュールの温度分布は通常のΠ型とは全く異なる。よって計算機支援モジュール設計を行った。 昨年度作成した有限要素法に基づく計算コードを改良して温度依存性を考慮できるように改良した。また、三次元螺旋構造を解くことが出来るよう円筒座標系のアルゴリズムを完成させた。今年度は簡単な構造でその妥当性を確認した後、複螺旋構造をもつ2種類の熱流体に適用した。その結果、申請者らが最も簡単な条件であるとして10年前に示した解析解にほぼ一致する結果を得たことから、適用妥当性を示した。数値計算の長所である計算条件を幅広く振ったところ、出来るだけピッチが伸びた長い円筒内を高速の熱流体が流れる場合に、モジュールは最大発電能力を有した。しかしながら熱効率は円筒を延ばすほど低下した。 円筒を長く延ばすと、斜体素子はますます斜方体に変形するが、熱は最も短い方向に流れるが電流は対角線斜め方向にも相当量が流れるため、素子特性は直角よりもやや傾いた素子で良好となる。このような解析例は今までなかった。あまりに傾いた素子では表面積が大きくなるため、輻射熱が意外に大きくなって効率が低下した。最適条件は各種設定に依存するが斜方素子は直方体素子よりも優れた効率と出力を示した。
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