研究実績の概要 |
ガスハイドレート(以下にGHRと述べる)は,直接燃焼のほかに、ガス燃料の輸送やCO2の海底貯蔵などの分野で利用が検討されている(例えばXuemei Lang, et al, Journal of Natural Gas Chemistry, 19(3), 2010)。さらに,冷熱貯蔵の検討(例えばYingming X, et al., Applied Energy, 87(11), 2010),CO2の固定に用いる検討(例えばAudun A., Applied Energy, 86(6), 2008)が調査されている。しかしながらGHRの特異な状態変化を利用して、小温度差で駆動する蓄電システムを構築した例はこれまでにない。一方、限られた時間にエネルギー密度を増加させるには、ガスハイドレート生成速度の向上を要する。そこで、ガス、液、触媒の3相界面の接触確率を大幅に増加させて、効率的にGHRを生成する工夫を加えることにより、高エネルギー密度の蓄電装置に発展させる着想に至った。3相界面の接触面積の増加については、応募者が過去に行った、固体高分子膜形燃料電池のガス拡散層と触媒分散の技術から着想に至った。 本プロジェクトではGHRの生成に活性を示す酸化鉄-グラファイト系触媒を、高分散化してカーボンクロスに担持させ、水、ガス、触媒の接触面積を増加させる。CO2及びCH4などの炭化水素によるGHRについて、カーボンクロス担持触媒を用いたGHRの生成試験を実施して、GHR発電システムの蓄電量を明らかにすることを目的として、以下について明らかにした。 GHR生成反応の律速条件と考えられる、ガス、液体、触媒の接触確率を操作することで、飛躍的な生成速度の増加を試みるのに、過去にない「カーボンクロス担持触媒をGHRの生成に適用」したことで、攪拌機による電力消費なしに効率10%の発電の目途をつけた。
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