研究課題
本研究の目的は、マウスだけでなくマーモセットなどこれまで遺伝子改変が困難であった動物にも一世代で任意の標的遺伝子の機能解析を可能とする動物作製技術を開発することである。このために当初の計画では、CRISPR/Cas9システムを利用し、既存のCreまたはtTA/rtTA発現するドライバーマウスにより、特定の細胞に時期特異的にCas9を発現させる動物を樹立する。次にこの動物胚にレンチウイルスでガイドRNAを発現するトランスジーン導入することで、コンディショナルターゲティングに相当する遺伝子改変動物を迅速に作製する。一世代で多数の解析対象個体が作出でき、迅速に細胞選択的な標的遺伝子の機能解析が可能となる。この技術はまた、全ての胚操作可能な哺乳類に適用できることから、サルなどでの脳高次機能や疾患解析が可能になる技術になると考えた。本研究を達成するために、まずCreあるいはtTA/rtTA依存的にCas9遺伝子を発現するノックイン型トランスジェニックマウスを樹立した。さらに、レンチウィルスベクターを用いたトランスジェニック動物を効率的に作出する手法の検討を進め、受精直後から4細胞期胚の透明体をレーザー穿孔することで、効率的に外来遺伝子を導入できることを確認した。現在、この両者を組み合わせて作出した3種類の遺伝子を持つ動物で、目的の部位で標的分子が欠損する効率などの検証等を進めているところである。さらに、急速に進展する遺伝子編集方法の新規技術を用いて迅速に解析対象の遺伝子改変動物を樹立する方法を検討した。マウス胚に電気穿孔法でCas9、ガイドRNAさらに相同組換えDNA断片を同時に導入する方法を用いて、アミノ酸の置換や標的タンパクにタグをつける方法などに成功した。これらの本研究は、迅速な遺伝子改変動物の作製技術開発に資するものである。
すべて 2015 その他
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 8件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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