研究課題
経験が外側手綱核(LHb)の成熟に及ぼす影響を明らかにした.幼若期にストレスを与えた反復母子分離ストレス群(repeated maternal separation: RMS),性成熟後に与えた反復ストレス群(repeated imobilization: RIMO)と,ストレスを与えない対照群を作成し,最初期遺伝子(ZIF268/EGR1)陽性細胞数を指標にLHbの機能を検討した.成体への標準的なストレス負荷によるZIF268/EGR1陽性細胞はRMS群で有意に多く現れた(p = 0.0024).幼若期のストレス経験はLHbの成熟に影響を及ぼしLHbの活動性を亢進させるが,成熟後のストレス経験は影響を与えなかった.経験が構造に及ぼす効果をPV陽性細胞数とperineuronal net(PNN)の構造(Aggrecan陽性細胞数とWFA陽性領域の拡がり)を指標として検討した.RMS群と対照群の間ではP20の時点でPV陽性細胞数に違いは無く,Aggrecan陽性細胞数にも違いは無かったが,WFA陽性領域はRMS群において有意に拡大していた(p = 0.00221);RMS群ではPNNの糖鎖部分(コンドロイチン硫酸:CS)が増加して、PNNの成熟が前倒しされていた.P60ではPV陽性細胞がRMS群において有意に少なかったが(p = 0.00173),Aggrecan陽性細胞数とWFA陽性領域に違いは無かった.RIMO群と対照群の間にはPV陽性細胞数に違いは無かった.(1)CSの増加によるPNNの早期成熟と,(2)成体におけるPV陽性細胞の減少は幼若期のストレス経験がLHbの成熟に及ぼす効果の構造的な背景となっている.成熟段階特異的なストレス経験が回路に影響を与えるので、LHbにおける臨界期の存在が支持された.
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Front. Neurosci.
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http://www.med.u-toyama.ac.jp/anat/index.html