遺伝子発現の光操作をニューロンにおいて機能するように至適化し、脳神経回路研究に応用するための基盤的技術開発を行った。もし、光照射の有無や条件により、遺伝子発現を自在にコントロールする事が可能になれば、様々な遺伝子の機能や、その発現動態の意義について、より詳細な解析が可能になる。本研究課題では、主としてウイルス発現ベクターに搭載しての使用を実現し、迅速にマウス個体・脳内における、遺伝子発現の光操作を可能にする事を目的とした。モデル動物個体の脳のニューロンに光応答性転写因子をもつコンストラクトと、5xUASの下流に発現させたい遺伝子を配置したコンストラクトの両方を遺伝子導入するため、insulatorを搭載して2種のコンストラクトを同時導入できるようなウイルスベクターを確立した。アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターに加えて、レンチウイルスベクターへの搭載にも成功した。また、ウイルスベクターの開発と並行して、光応答性転写因子を発現するトランスジェニックマウス動物の作出を行った。具体的には、すべての細胞で恒常的な発現を示すCAG promoter下に、もしくは、神経幹細胞で働くNestin promoter下に、光応答性転写因子を発現するトランスジェニックマウスの作出を行った。また、LED光源・トリガーや光ファイバー等、光照射を行うデバイスの改良と最適化を行った。今後、遺伝子発現を自在にコントロールする事を可能にするために、光照射の有無や条件の詳細な検討が必要である。
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