研究課題
脳は回路特性や生理学的特性の異なる多数の神経細胞によって構成されており、並列分散的で高度な情報処理を行っている。しかしながら、その生得性や獲得性についての理解はあまり進んでいない。我々はH26年度に発生期のエピジェネティック制御機構として、Dnmt3bによる発生初期の差次的なDNAメチル化がプルキンエ細胞におけるクラスター型プロトカドヘリンの確率的な発現を制御し、樹状突起のパターン形成に関わっていることを明らかにした。本年度は昨年度に引き続き、大脳皮質の局所回路形成におけるDnmt3b依存的なエピジェネティック制御やクラスター型プロトカドヘリンの関与、および細胞系譜との関係性について解析した。Dnmt3bまたはプロトカドヘリン分子群を欠損したiPS細胞株の樹立とキメラマウスの作製を行うことでクローン性の細胞を標識し、ダブルホールセル記録を行うことで細胞系譜依存的な双方向性シナプス結合の形成に発生期のDnmt3b依存的なエピジェネティック制御が関わることを発見し、論文発表を行った(Tarusawa, Toyoda et al., 2016, BMC Biol)。また、これらの知見をヒト高次脳機能の個性化について検証することを目的に、情報通信研究機構 脳情報通信融合研究センターと大阪大学との共同研究として、双生児を対象とした自然知覚・認知機能における遺伝環境要因の定量的理解に関する研究を開始した。
すべて 2016 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 備考 (2件)
BMC Biology
巻: 14 ページ: 103
10.1186/s12915-016-0326-6
http://researchmap.jp/toyoda02/
http://www.med.yamanashi.ac.jp/basic/physio02/Kitamura_Lab_j/Top_j.html