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2015 年度 実施状況報告書

神経幹細胞ニッシェ可視化システムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 26640013
研究機関地方独立行政法人佐賀県医療センター好生館(医学研究所)

研究代表者

神吉 浩明  地方独立行政法人佐賀県医療センター好生館(医学研究所), その他部局等, 研究員 (80321751)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード神経新生 / 神経幹細胞 / ニッシェ
研究実績の概要

「哺乳類生体内の神経幹細胞ニッシェの正確な同定」という将来的なゴールのためのパイロットツールとして、本研究では『神経幹細胞を取り囲む細胞』を蛍光蛋白を利用して標識するシステムの開発を目指している。
まず、異なる2色の蛍光タンパクから成る融合ペプチド『RelCat』のコーディング・シークエンス(CDS)を、赤色蛍光蛋白FusionRed及び緑色蛍光蛋白EGFPの組み合わせで作製し、それをヒトEFプロモーターを含む哺乳類発現ベクターに組み込み、ヒト胚性腎臓細胞・293Tで評価した。その結果、
(1)細胞内において、2つの蛍光タンパクから成る融合ペプチドが生成されること。(2)その融合ペプチドが細胞内で2つの蛍光ペプチドに切断されること。(3)片方の蛍光ペプチドは細胞内に残り、もう一方が細胞外に排出されること。(4)細胞外に排出された蛍光ペプチドが、培養液から再度細胞に取り込まれること。等の、当システムが備えるべき基本的性質を確認できた。
次に、このCDSをレンチウイルス発現ベクターに組み込み、ヒト胚性神経幹細胞株のニューロスフェアでも機能検定したが、残念ながら、細胞外への排出後に取り込まれた赤色蛍光蛋白の強度が予想よりもかなり低かった。そのため、追加で5種類の蛍光蛋白コンビネーションのCDSを準備し、それらを同様に評価した。その結果、上記オリジナルのものよりも蛍光強度が有意に高いベストなバージョンを決定することができた。
並行して、レポーター遺伝子EGFPを用いて、4種類の遺伝子発現制御領域(ラットnestinエンハンサー+プロモーター、マウスSox2プロモーター、ヒトCD133プロモーター、ヒトCD44プロモーター)の上記ヒト胚性神経幹細胞株内での活性を調べた。それらの中から、当該細胞種において最も活性の高い遺伝子発現制御領域を決定した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当研究所は本年度の4月1日に正式発足したが、研究室及び細胞培養室の工事の遅れに加え、研究費使用ルールの策定や、物品の発注から検収、納品に至る事務手続きの流れの制定等々、サポート体制の確立に時間を要し、研究を本格的にスタートするまでにひと月ほどのタイムラグが生じた。
また、当初使用予定だったバージョンのRelCat融合蛍光ペプチドのヒト胚性神経幹細胞株内における性能が予想よりもかなり低いことが判明し、5種類のバージョンを追加作製するという想定外の作業が加わった。更に、評価すべきコンストラクトが計6種類へと増加したことにより、それらの中からベストなものを選び出すための作業が加わった。
それら想定外の要素により、当初の研究計画より若干の遅れが生じているが、当プロジェクトの最もクリティカルかつハードなパートは無事に通過したものと考えられるので、今後は格段のペースアップが期待できる。

今後の研究の推進方策

これまでの評価作業の結果、今後の実験に使用予定であるヒト胚性神経幹細胞株におけるベストな(1)遺伝子発現制御領域、及び、(2)RelCatバージョン、を決定することができた。その組み合わせを当該細胞株に用いて、当システムのin vitro系での最終検定を行うと共に、遺伝子改変マウスを作製し、当システムのin vitroでの有用性を評価する。なお、本プロジェクトはこの段階までは当研究所単独で遂行できたが、当研究所は設立間もないことから各種機器が不足しているため、今後は外部研究機関の協力を仰ぎつつ研究を遂行する。
まず、上記細胞株のニューロスフェアを使い、上記組み合わせの当システムのパフォーマンスを詳細に評価する。当研究所が所有する蛍光顕微鏡はコンベンショナルタイプのものであるため、三次元蛍光シグナルの解析には適していない。したがって、ニューロスフェア内の蛍光シグナルの詳細な解析には大きく力不足であるため、同目的に適した共焦点顕微鏡を所有する他研究室との共同研究で当システムを丁寧に評価する。
当システムが上記細胞株由来ニューロスフェアで期待通りの機能を果たすことが確認できたら、次にin vitro系のセルソーティングを試みる。RelCatウイルスを感染させた細胞からニューロスフェアを作製し、赤色蛍光蛋白のみ陽性な細胞がどの程度存在するかを調べると共に、それらの細胞を分離し、遺伝子発現の変動も解析する。この件に関しても、セルソーターを所有する他研究室との共同研究になる。
並行して、トランスジェニックマウスを作製する。当研究所には遺伝子改変動物を作製する設備も動物飼育施設もないので、これも同様に他の研究機関と共同で行う。

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公開日: 2017-01-06  

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