神経細胞はその入力部である樹状突起で情報を受け取り、これを統合・計算した結果を軸索で活動電位に変換し、他の細胞に出力する。これまで、主な情報の統合と計算は樹状突起で行われ、軸索はその出力である活動電位を忠実に伝えるケーブルとして捉えられてきた。しかし我々は運動制御や学習を担う小脳回路の主要な細胞であるプルキンエ細胞において、カルシウム依存性K+チャネルの一つBKチャネルが有髄軸索に発現すること、また、このBKチャネルが軸索内活動電位の発生を制御することを初めて明らかにした。以上の結果から、軸索においてもダイナミックな情報処理が行われる可能性が示唆され、その詳細を今後の研究から明らかにしていく。
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