免疫組織学的評価:病理組織用に確保した小頭症発症個体(2例)及び正常個体(2例)の脳を用いて行った。候補遺伝子と推定したZfp326蛋白質の抗体(市販品)を用いて、免疫組織学的解析を実施した結果、発症個体は、染色度合い(免疫反応)が弱かった。その原因は、各領域が未発達で、細胞数が少ない事が反映していると考えた。具体的には、ヘマトキシリンーエオジン染色による病理学的解析時に得られた結果、1)大脳皮質の層構造の不明瞭ないし顆粒層の消失。2)海馬ではその形成が極端に未熟か、消失。3)小脳ではプルキンエ細胞層の上に皮質がないか、顆粒細胞が非常に少ない。4)嗅球では、顆粒細胞層が非常に少ない。 原因遺伝子のPCR解析:マイクロサテライトDNAマーカーを用いて実施し、最有力候補を第5染色体のZfp326遺伝子としたが、免疫組織学的結果では明確ではなかった。そこで、小頭症発症個体及び正常個体のZfp326遺伝子の塩基配列を比較した結果、12のエクソン領域は、全て同じ塩基配列を示し、Zfp326遺伝子は原因遺伝子ではない事が確認されたので、引き続き近傍の遺伝子解析を行う。 小頭症モデルマウスの樹立:現在、BALB/cおよびC57BL/6系統へのコンジェニック化を進めている。なお、BALB/c系小頭症マウスは理研バイオリソースセンターに寄託済みである。今後は、初代培養細胞の樹立、及び行動様式の確認を行う。当動物実験施設の改装工事の為、平成26年8月から平成27年12月末まで、マウスの飼育が出来ず、当初の計画が遅滞した。
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