SIRT1は「脳虚血抵抗性に賦与する」という仮説を検証した. SIRT1過剰発現マウス(Sirt1-Tg)と野生型同腹仔マウスに両側総頸動脈狭窄術(BCAS)を行って,慢性脳低灌流を誘導した.通常,BCAS後は作業記憶障害,大脳白質の虚血性傷害が発現するが,Sirt1-Tgでは認めなかった.この要因として,野生型マウスの術後脳血流は術前の約70~80%に低下したが,Sirt1-Tgでは一貫して脳血流は保たれたことにあった.この機序は,SIRT1が内皮型一酸化窒素合成酵素を脱アセチル化して活性型とし,脳血管を拡張させたことによるものであった.今後はSIRT1活性化薬を使用した臨床応用を目指す.
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