研究課題
ポリグルタミン病の疾患タンパク質に含まれるポリグルタミン繰り返し配列に結合するタンパク質であるPQBP1について、私たちはRNA polymerase IIならびにスプライシング因子U5-15kDに結合することを既に報告して来た。本年度は、C末端領域の特定配列がU5-15kDとの結語に必須であることを構造生物学的手法から明らかにした(Mizuguchi et al, Nature Commun 2014)。知的障害におけるPQBP1遺伝子変異はPQBP1タンパク質の発現低下を通じて、各種遺伝子のhnRNAからmRNAへのスプライシングパターン異常を来たすことが予想されるが、今回、新規に作成したPQBP1遺伝子cKOマウスにおいて細胞周期遺伝子のスプライシング異常が神経幹細胞分裂周期を延長させて脳サイズ減少につながっていることを明らかにした(Ito et al, Mol Psychiatry 2014)。加えて、AAVを用いたPQBP1の補充療法によって、脳サイズ減少(小頭症)を改善出来ることを示した(Ito et al, Mol Psychiatry 2014)。
1: 当初の計画以上に進展している
CKOマウスを使って全ての遺伝子におけるスプライシング異常を網羅的に捉えた上で、小頭症という個体フェノタイプに如何につながるかを明らかに出来た。さらに、AAVベクターを用いた遺伝子治療によりPQBP1を補充することで小頭症が改善することも示した。これらの成果は、当該領域で大きな意味をもつものである。
PQBP1-cKOマウスを用いて、エイジングとPQBP1スプライシングの関係について解析を進めるとともに、変性疾患に於けるPQBP1を介したスプライシング異常について、様々な手法で検討を行う。PQBP1はポリグルタミン配列に広く結合するタンパク質であり、変性疾患を跨いだスプライシング異常病態について解析を進める。
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