研究課題
特定の領域に投射している神経細胞特異的に遺伝子を発現させるために、破傷風毒素の無毒化C末断片を融合させた経シナプスCre(Cre-TTC)を作成した。これを発現するアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを作成し、様々な脳領域において発現と機能を確認した。投射元の神経細胞にCre-TTCを発現させ、投射元神経細胞に投射している神経にはCre依存的に遺伝子発現を起こすAAVを感染させた。また、AAVだけではなく、逆行性感染を起こすことが知られているイヌアデノウイルス(CAV2)を用いて投射経路特異的な遺伝子発現を確認した。投射先領域にCre依存的にフリッパーゼ(Flp)を発現するCAV2を感染させ、投射する神経にはFlp依存的に遺伝子発現を起こすAAVを感染させた。つまりCAV2を感染させた領域に投射するCre発現神経細胞だけで、Flpが発現して機能することになる。FlpはFRT配列を認識して組換えを起こすため、Cre活性とは別に遺伝子発現を制御することが可能となる。この方法を用いてCre-TTCとCAV2との投射経路特異的な遺伝子発現効率を比較して検討をおこなった。CAV2と比べてCre-TTCによる投射経路特異的ラベルは、遺伝子発現細胞が認められるものの、数が少なかった。これは、経シナプスの効率が悪いためと考えられる。そのため、さらに効率を上昇させるような改良が必要であることが分かった。
2: おおむね順調に進展している
投射経路特異的な遺伝子発現を確認することが出来ており、Cre-TTCが経シナプス逆行性に移行することを確認した。逆行性感染をするCAV2と効率を比較することで機能を評価することが可能となった。
Cre-TTCの経シナプス移行効率を向上させるために、様々な付加配列を検討しており、それらを付加したタンパク質を発現するためのプラスミド構築を進めている。これらを用いて移行効率が上昇するかどうか確認を行っていく。
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