研究課題/領域番号 |
26640042
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
遠山 育夫 滋賀医科大学, 分子神経科学研究センター, 教授 (20207533)
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研究分担者 |
赤津 裕康 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任教授 (00399734)
井之上 浩一 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (30339519)
清水 志乃 滋賀医科大学, 医学部, 医員 (50505592)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 脳神経疾患 / アルツハイマー病 / 認知症 / 診断 / 神経病理 |
研究実績の概要 |
アルツハイマー病の早期診断技術として、PETによるアミロイドイメージングや髄液中のβアミロイドペプチド(Aβ)の測定が提唱されているが、もっと簡便で侵襲が少なく安価な診断法の開発が期待されている。我々は、血液を介さずに脳内との間で物質の移動が行われる鼻腔・鼻粘膜に着目し、アルツハイマー病遺伝子改変モデルマウスを用いて検討したところ、鼻粘膜のAβ沈着量が脳内のAβ沈着量と正比例することを発見した(Neuroscic Lett, 2012)。しかし、鼻粘膜にはAβに限らず、認知症の神経病理を反映する様々な病態関連因子が集積していると考えられる。そこで本研究では、認知症の病態に深く関連し鑑別診断に必須なAβ、リン酸化タウ、αシニクレイン、TDP-43 について、 1)ヒト鼻粘膜での存在を病理学的および質量分析装置で明らかにする。 2)ヒト鼻粘膜試料を用いた定量測定法の開発を行う。 ことを目的とする。 平成26年度は、Aβとタウ蛋白について検討した。ヒトの鼻腔サンプルからベータアミロイドペプチドと総蛋白を定量する方法を開発した。この方法を用いると従来法ではヒトの鼻腔サンプルから全く検出できなかったAβを定量出来ることがわかった。その成果の一部を論文発表した。また、福祉村病院ブレインバンクから供与を受けた共同で行ったヒト剖検サンプルにおける検討では、鼻粘膜にAβとリン酸化タウ蛋白が沈着していることを免疫組織化学的に明らかにした。特に、リン酸化タウ蛋白では、アルツハイマー病例の鼻腔で強く染色された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は、Aβとタウ蛋白について検討した。ヒトの鼻腔サンプルからベータアミロイドペプチドと総蛋白を定量する方法を開発した。この方法を用いると従来法ではヒトの鼻腔サンプルから全く検出できなかったAβを定量出来ることがわかった。その成果の一部をJournal of Brain Science誌に論文発表できたことから、おおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
倫理委員会の承認の上で、滋賀医科大学附属病院神経センター認知症外来において、認知症患者さんおよび対照ボランティアから、十分なインフォームドコンセントを行い書面にて承諾を得る。附属病院耳鼻咽喉科外来にて承諾を得た方から鼻粘膜試料を採取する。鼻粘膜試料中に含まれるAβ、リン酸化タウ、総タウ蛋白の定量を行う。検出には、我々が開発した高感度ELISA法を用いる。加えてα-synucleinおよびTDP-43の高感度ELISA測定法の開発を行う.α-synuclein とTDP-43については、アルツハイマー病に比べて症例数も少ないことから、定量法の開発までにとどめ、診断の有用性の検討は、改めて実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
試薬の一部が国内で品切れになり納期があくれたため、一部の研究が次年度にずれ込んだため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度繰越額は、研究に必要な試薬購入の物品費として使用する。
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