研究課題
以前我々は、マウスの脳梗塞モデルを用いた実験により、脳組織の再生過程において、新生ニューロンが血管に沿って移動するという現象を見出した。また、これらのニューロンが移動を停止し、成熟する場所にも血管が存在することを見出した。これらのことから、血管の動的な働きとニューロン新生の間に、機能的な連関がある可能性が考えられる。しかし、従来の固定標本や脳スライスの培養を用いた実験では、血流とニューロン新生の関係を研究することは不可能である。本研究では、こうした状況を打破するため、生きた動物の脳内における血流とニューロン新生を同時に観察する新しい技術を開発し、両者の関係を調べることを計画した。1年目に引き続き、マウスの嗅球における血流と新生ニューロンの定着を同時に観察する技術を確立するための条件検討を行なった。嗅球を覆う頭蓋骨を薄く削り、2光子顕微鏡を用いて、生きたマウスの脳内における血流とニューロンの定着頻度を同時に解析した。生きたマウスの嗅球における新生ニューロンを観察するため、嗅球内の特定のニューロンが蛍光で標識されたマウスを用いた。同じ領域を一ヶ月間隔で観察し、ニューロンの細胞死と新生ニューロンの定着を解析した。血管内に蛍光色素を注入し、血管内を通過する血球の速度を測定することによって血流速度を算出した。確立された本実験系を用いて血流量と定着するニューロンの数を解析したところ、両者に相関関係があることを示唆する結果が得られた。
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Characterization of multiciliated ependymal cells that emerge in the neurogenic niche of the aged zebrafish brain.
巻: 未定 ページ: 未定
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Neurochemical Research
巻: 41 ページ: 222-230
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http://k-sawamoto.com/