研究課題
膜タンパク質は、細胞外の環境情報を細胞内に伝達するなどの役割を果たしている。その分子機構の解明には、原子レベルでの構造情報を得ることが重要である。静的な立体構造についてはX線結晶構造解析によってなされているが、膜電位がどのように構造に影響するのかなど不明な点が多い。パッチクランプ法などの電気生理解析では、様々な膜電位におけるイオンチャネルの機能解析が可能であるが、構造に関する情報を得ることは困難である。本研究では、膜タンパク質の赤外吸収スペクトルを高感度に計測する顕微赤外分光計測法を開発し、膜電位存在下での膜タンパク質の動的構造変化の計測系を構築することを目指している。研究項目として、1)高感度顕微赤外分光装置の開発、2)膜タンパク質の分子機構解明に向けた研究の2項目を設定している。1)に関連してポリジメチルシロキサン(PDMS)を用いたマイクロ流路に電極を導入した電気化学計測系について、分子科学討論会にて成果発表を行った。2)のテーマに関連して、ほ乳動物由来のカリウムチャネルの一種であるTWIK-1のイオン選択性に関する解析を進め、チャネル活性が確認された脂質系POPE/POPG(モル比3:1)で計測を行うことがチャネルの安定性において重要であることが分かった。今後、膜電位存在下での計測を適用するにあたっても参考になる知見である。ATP受容体であるP2Xチャネルの核酸塩基認識機構に関する結果を共著論文として発表した(G. Kasuya et al. Sci. Rep. 2017)。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 4件) 備考 (1件)
Scientific Reports
巻: 7 ページ: 45208
10.1038/srep45208
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