研究課題
複数遺伝子変異マウスは、遺伝子間相互作用などをin vivoで評価することができるため、疾患メカニズムの解明に不可欠なバイオリソースであるが、その作製には長い時間と労力を必要とするだけでなく、交配の過程で多数の目的外のマウスを誕生させてしまう。そこで、本研究計画ではY染色体に自殺導誘遺伝子を組み込んだES細胞の樹立により同一複数変異アレルを有する雌雄のキメラマウス作製に取り組んだ。はじめに、自殺遺伝子をY染色体に組み込むために、ターゲティングベクターを構築した。ターゲティングベクターはSRaプロモーターの下流に薬剤誘導型自殺遺伝子であるiCaspase3Eをつなげた自殺遺伝子ユニットとEF1プロモーターの下流にGFP遺伝子をつなげたレポーターユニットをノックインするようなデザインとした。またノックイン部位はY染色体のYqA1領域中の非遺伝子領域部位を選んだ。Y染色体へのノックインは非常に効率が低いことが知られており一般的な遺伝子ターゲティングではノックインができない可能性が考えられた。そこで、アーム部位にCRISPRのCas9 D10A (nickase) で切れ目をいれることでノックイン効率を上昇できないかと考え、5’側と3’側にそれぞれCRISPR targetを設定し、その配列を組込んだpx335ベクターを構築した。上記のノックインベクター(10マイクログラム)と2種のpx335ベクター(各5マイクログラム)を10の7乗個のES細胞にエレクトロポレーションで導入した結果、11個のコロニーが得られ、うち1クローンでノックインアレルが確認された。なお、ノックインアレルはPCR法とサザンブロッティングにより解析した。現在このクローンにおける薬剤誘導的自殺活性の確認とキメラマウスの作製を行っている。
すべて 2016 2015 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
Scientific Reports
巻: 4 ページ: 13632
10.1038/srep13632
http://www.md.tsukuba.ac.jp/basic-med/lab-animal/