研究課題
ほ乳類の性は遺伝的に決定する。性染色体がXY であれば雄に、XX であれば雌になる。XY 個体ではY 染色体上の遺伝子であるSex-determining region Y (Sry)が胎児期に一過性に発現する。これはそれまで未分化であった性腺を精巣へと分化させるために必須の現象である。SRYの作用機序は不明な点が多い。SRYにはDNA 結合能力があるため、転写因子として機能していることが予測されているが、転写を正・負どちらに調節しているのか、標的遺伝子は何か、等について明らかになっていないのが実情である。よって申請者は、SRY の特異的抗体を作成してクロマチン免疫沈降実験を試み、SRYの標的遺伝子座を明らかにする研究を進めた。ウサギとモルモットにリコンビナントSRYタンパク質を免疫して血清を回収し、反応性を検討した。その結果、モルモットの抗血清中にマウスの内在性SRYタンパク質を認識する抗体が含まれることが分かった。本抗体で免疫沈降実験を行った結果、細胞株で過剰発現させたSRYを免疫沈降することが可能であった。胎生11.5日の生殖腺をマウス胎児より回収しておよそ10の7乗個の細胞を得た。これをホルマリンで固定し、超音波破砕機でゲノムDNAを裁断した後に、界面活性剤で可溶化した。本溶液を用い、上記の抗体でクロマチン免疫沈降を行った。得られたDNAを次世代シーケンスで解析し、SRYタンパク質の標的遺伝子の候補について検討を行った。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)
Mol. Cell. Biol.
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