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2015 年度 実施状況報告書

細胞系譜除去マウスの網羅的作製とそのレスキュー

研究課題

研究課題/領域番号 26640058
研究機関奈良先端科学技術大学院大学

研究代表者

石田 靖雅  奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 准教授 (10221756)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードDTrap / 細胞系譜除去 / ハプロイドES細胞 / 両アレル遺伝子破壊 / テトラプロイド胚
研究実績の概要

本研究の基盤となる「テトラプロイド胚のコンプリメンテーション」を再度実行し、マウスの発生を解析した。このテトラプロイド胚に注入するES細胞は、B6-129 F1マウス由来のKY1.1を用いた。
さらに、DTrap法によって樹立されたES細胞クローンの中からgamma-E-crystallin遺伝子(眼球のレンズで特異的に発現)とperilipin-1遺伝子がトラップされたものをピックアップし、テトラプロイド胚のコンプリメンテーション実験を行った。
本研究の最終局面では、DTの発現によって除去された細胞系譜を、テトラプロイド胚に共注入する「第二のES細胞株」によってレスキュー(再建)できるかどうかテストするが、共注入するES細胞としては、野生型に加えて、特定の遺伝子をbi-allelicに破壊したES細胞株を用いる。このようなES細胞株を用意するため、まずハプロイドES細胞株を利用してランダムなポリAトラップを行い、ベクターが細胞あたり1コピーで挿入されたハプロイドES細胞株のみを迅速に選別した。ハプロイドES細胞株には、時間経過とともに自然にディプロイド化する、という性質があるため、当初は細胞あたり1コピーであったベクターが、ディプロイド化にともない、細胞あたり2コピーになる。その状態で一過性にCreを発現させた場合、一部の細胞では確率的に片方のNEO-PUROカセットのみが反転し、そのよう細胞は、G418とpuromycinの両者に耐性を示すようになる。このようにして、平成26年度に引き続き、多数の両アレル遺伝子破壊ES細胞株を樹立し、定法にしたがい、トラップされた遺伝子を判別した。この両アレル遺伝子破壊のステップは、大阪大学医学部・竹田潤二博士との共同研究によって遂行した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

両アレル遺伝子破壊ES細胞クローンの樹立は比較的順調に進行している。しかし、薬剤選択(G418/puromycin double-drug selection)によって選別されたクローンが、本当に両アレル遺伝子破壊の「ディプロイド」細胞かどうか?(例外的な「テトラプロイド」細胞ではないか?)の判定には、想定以上の時間を要してしまった。
その一方で、テトラプロイド胚のコンプリメンテーション実験も、依然として難航していると言わざるを得ない。テトラプロイド胚としては、BDF1マウス由来のtwo-cell embryoを採取し、electrofusion法にて細胞融合を行ったあと、胚盤胞期まで培養したものを用いた。このテトラプロイド胚へは、B6-129 F1マウス由来のES細胞株KY1.1(野生型)と、gamma-E-crystallin遺伝子(眼球のレンズで特異的に発現)がDTrapベクターによってトラップされたES細胞クローン、それにperilipin-1遺伝子がトラップされたクローン、の三種類をインジェクトしたが、いずれの場合もマウスが胎生後期まで発生しなかった。これらのコンプリメンテーション実験は、これまでに試みた回数やスケールが依然として非常に限定的であるため、技術的な安定化を目指し、さらに試行を繰り返す必要がある。
このように、いくつかのステップに想定以上の時間を要してしまったため、補助事業期間の延長を申請し、承認された。

今後の研究の推進方策

前年度に引き続き、野生型ES細胞(特に継代数の少ないものを選別して用いる)、あるいはDTrap法で作製したES細胞クローンによるテトラプロイド胚のコンプリメンテーションを試みる。後者による細胞系譜の除去が明らかになった場合には、次のステップとして、同じテトラプロイド胚に対して、① DTrap法で作製したES細胞クローンと② 野生型ES細胞の共注入を行い、DTの発現によって除去された細胞系譜のレスキューを目指す。
さらに本研究の最終ステップとして、両アレル遺伝子破壊ES細胞株(ハプロイドES細胞由来)の共注入による細胞系譜のレスキューを試みる。この実験で、野生型ES細胞と同様に、両アレル遺伝子破壊ES細胞株でもDTによって除去された細胞系譜のレスキューが達成できた場合、それはbi-allelicに破壊された遺伝子「X」は、その細胞系譜の形成にとって必要不可欠ではないことを意味する。しかし逆にレスキューが達成できなかった場合には、その遺伝子は注目する細胞系譜の形成にとって必須のものであることが分かる。両アレル遺伝子破壊のためのトラップベクターでは、遺伝子破壊は可逆的なものになっているため、Flpの一過性発現により、破壊された遺伝子の活性を復活させた場合には、細胞系譜の再建が野生型ES細胞と同様に達成できることを最後に確認する。

次年度使用額が生じた理由

両アレル遺伝子破壊ES細胞クローンの樹立は比較的順調に進行している。しかし、薬剤選択(G418/puromycin double-drug selection)によって選別されたクローンが、本当に両アレル遺伝子破壊の「ディプロイド」細胞かどうか?(例外的な「テトラプロイド」細胞ではないか?)の判定には、想定以上の時間を要してしまった。その一方で、テトラプロイド胚のコンプリメンテーション実験も、依然として難航していると言わざるを得ない。これらのコンプリメンテーション実験は、これまでに試みた回数やスケールが依然として非常に限定的であるため、技術的な安定化を目指し、さらに試行を繰り返す必要がある。
このように、いくつかのステップに想定以上の時間を要してしまったため、補助事業期間の延長を申請し、承認された。

次年度使用額の使用計画

分子生物学試薬の購入に約200,000円、細胞培養用培地とウシ胎児血清の購入に約100,000円、各種抗体の購入に約100,000円、論文投稿諸費用のために約100,000円を要する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Homozygous mutant mouse embryonic stem cell bank arising from autodiploidization during haploid gene-trap mutagenesis.2015

    • 著者名/発表者名
      Ayako Yamanishi, Ryohei Kondo, Atsushi Matsuba, Masahiro Tokunaga, Chikara Kokubu, Yasumasa Ishida, and Junji Takeda
    • 学会等名
      Conference on Transposition and Genome Engineering 2015
    • 発表場所
      奈良春日野国際フォーラム「IRAKA」(奈良県奈良市)
    • 年月日
      2015-11-17 – 2015-11-20
    • 国際学会

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公開日: 2017-01-06  

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