研究代表者は、本研究においてゲノム編集技術CRISPR/Cas9を改良しゼブラフィッシュにおける遺伝子破壊や遺伝子挿入(ノックイン)を簡便に行うことができる新しい発生工学技術の開発を行った。最終年度では、ヌクレアーゼであるCas9タンパク質と化学合成したCRISPR RNA (crRNA)およびtrans-activating crRNA (tracrRNA)をゼブラフィッシュ受精卵に注入する即効型CRISPR/Cas9システムの開発に成功した。即効型CRISPR/Cas9システムを用い色素合成に関与するチロシネース遺伝子の破壊を行うことで色素合成異常の表現型を効率よく誘導できることを見出した。さらに、未解析遺伝子であるepdr1 (ependymin related 1)の遺伝子座にEGFPレポーターを挿入する技術を開発し、本研究の目的である効率的な遺伝子挿入技術の開発に成功し、その研究結果を論文として報告した(Scientific Reports 2015)。また、ゲノム編集技術を用い作成したスフィンゴシン・キナーゼ2(sphk2)のmaternal-zygotic(母性-接合体)変異体が心臓発生に異常を示すことを見出し、論文として報告した(JBC 2015)。
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