研究課題/領域番号 |
26640066
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
和田 はるか 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 講師 (70392181)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 造腫瘍能 / がん幹細胞 / 免疫細胞 / 相互作用 |
研究実績の概要 |
1-1.造腫瘍株・非造腫瘍株と免疫細胞の相互作用の詳細な解析(in vitro解析) 脾臓細胞を造腫瘍株/非造腫瘍株の培養上清で培養し、遺伝子発現の変化をqPCRにて解析した。発現変化が期待された約30種の遺伝子について検討したところ、それぞれの培養上清で脾臓細胞を培養すると、4種類の遺伝子の発現について相互に発現差異が生じることを見出した。
1-2.生体内において造腫瘍株・非造腫瘍株と相互作用し腫瘍形成に影響を及ぼす免疫細胞種の同定 造腫瘍株・非造腫瘍株を脳内に接種し、一定期間後に浸潤免疫細胞について、フローサイトメトリー解析及び免疫組織染色解析を行った。造腫瘍株の接種局所において、選択的に免疫細胞浸潤が亢進していること、その主要な細胞集団は免疫細胞Aであることが判明した。
2-1.造腫瘍-非造腫瘍株間で発現に差異のみられる細胞表面分子、細胞外分泌分子の遺伝子クローニング/強制発現株の作製およびKOベクターの作製/KO株の作製 たんぱく質スクリーニングにより、造腫瘍-非造腫瘍株間で発現に差異のみられる細胞外分泌分子を同定した。スクリーニングした39種類の分子のうち、造腫瘍株において4種の分子で選択的発現が認められた。現在、これら4分子の遺伝子について各種発現ベクター、CRISPR/Cas9システムによるKOベクターの作製および強制発現株、KO株の作製を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に記載したとおり、当初の計画のとおりに進行させることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2-2.がん細胞上に発現するがん細胞生着/非生着に関与する責任分子の同定 2-1で作製した強制発現/KO細胞株を免疫学的に正常なマウス個体に接種し、腫瘍の生着や生存期間を観察することで、がん細胞の生着/非生着においての各強制発現/KOさせた分子の効果を解析し、がん細胞の生着/非生着にかかわる責任分子を同定する。 2-3.免疫細胞上に発現するがん細胞受容/排除に関与する責任分子の同定 1-2で同定した免疫細胞種が、どのような発現分子により造腫瘍株・非造腫瘍株と相互作用し、腫瘍の形成/非形成に影響を及ぼしているのかを、造腫瘍株・非造腫瘍株のマイクロアレイ発現解析の情報や、2-2で明らかにした情報をもとに絞り込む。絞り込んだ分子に対する抗体をマウス生体に投与し、当該分子をブロックまたは当該分子を発現する細胞を除去した状態をつくり、造腫瘍株を接種して腫瘍形成やマウス生存期間への影響を検討し、同分子の生体内での腫瘍形成における役割を明らかにする。 3.ヒト腫瘍組織を用いた解析および予後との相関解析 ヒト腫瘍組織中においても、同様の細胞が存在するかどうかを解析する。またその存在の有無が、生命予後との相関性を解析し、実臨床において当該の分子が治療標的となりうるかを検討する。 4.真のがん幹細胞マーカーにより腫瘍組織から抽出されるがん細胞は、免疫学的に正常な個体内で造腫瘍能を発揮するのか? 3において、真のがん幹細胞マーカーを発現するようながん細胞が存在した場合、セルソーターによりその細胞を分離し、免疫学的に正常なマウスに接種し、造腫瘍能、接種による致死性があるかどうかを確認する。
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