近年、がんの発生・進展を正にも負にも制御する機構として、「細胞競合」が重要な役割を果たすことが示唆されつつあるが、その分子機構は不明な点が多い。その理由として、細胞競合を引き起こす分子群を網羅的に単離・同定するモデル系が存在しなかった点が挙げられる。本研究において研究代表者らは、細胞競合の分子機構を明らかにするために、ショウジョウバエ上皮をモデル系とし、Gal4/UASシステムにより細胞競合を継続的に引き起こす新規細胞競合モデル系の確立を行った。その結果、リボソームタンパク質の低下により引き起こされる細胞競合がWingless(ほ乳類Wnt)シグナルにより制御されていることを見出した。
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