研究課題/領域番号 |
26640079
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
妹尾 昌治 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (90243493)
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研究分担者 |
笠井 智成 岡山大学, 自然科学研究科, 講師 (30530191)
水谷 昭文 岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (50598331)
工藤 孝幸 岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (00346412)
村上 宏 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (90260174)
増田 潤子 岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (20424674)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | がん幹細胞 / iPS細胞 / 阻害剤 |
研究実績の概要 |
1)マウスiPS細胞をがん幹細胞へ誘導する化合物の検討:マウスiPS(iPS-MEF-Ng-20D-17) 細胞をマウス肺癌由来LLC細胞の培養上清を混合したがん幹細胞化誘導培地中で培養する際、チロシンキナーゼ阻害剤やセリン/スレオニンキナーゼ阻害剤を中心に、TGFβI型受容体(ALK受容体)、TGFβII型受容体(TGFβ/BMP受容体)、Wnt/β-cateninシグナル経路、Notchシグナル経路、Headgehogシグナル経路、レチノイン酸受容体、グルココルチコイド受容体、FGFシグナル経路など、増殖分化/発生に関わるシグナル経路の阻害剤などを培地中に添加して、がん幹細胞化誘導が促進されるか否かをGFP蛍光と細胞塊形成などを指標として細胞観察を行い、効果を調べた。がん細胞では亢進されると報告されているMEKの阻害剤やGSK3βの阻害剤などで、がん幹細胞化を促進する作用が認められた。 2)がん幹細胞を誘導する過程の解析:誘導化過程における細胞からRNAを抽出して、c-Myc、Oct3/4、Sox2、Klf4およびNanogの遺伝子発現挙動の調査を進めるために、誘導後の細胞をヌードマウスに移植して、造腫瘍能を評価した。さらに、自己複製能評価を行い、その能力を有することを明らかにし、がんで亢進されているシグナル経路の複数種の阻害剤や血管新生阻害剤として開発された複数の薬剤でがん幹細胞化が誘導されることが判った。また、これらの候補化合物について、エピジェネテッィクス、プロテオミックス、メタボローム解析を行うためのサンプル調製を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウスiPS細胞をがん幹細胞へ誘導する化合物の検討において、チロシンキナーゼ阻害剤やセリン/スレオニンキナーゼ阻害剤を中心に、TGFβI型受容体(ALK受容体)、TGFβII型受容体(TGFβ/BMP受容体)、Wnt/β-cateninシグナル経路、Notchシグナル経路、Headgehogシグナル経路、レチノイン酸受容体、グルココルチコイド受容体、FGFシグナル経路など、増殖分化/発生に関わるシグナル経路の阻害剤のがん幹細胞化誘導促進活性を、マウスiPS(iPS-MEF-Ng-20D-17) 細胞を用いて評価できる可能性を示す事ができたことは非常に大きい成果である。この系を利用して、非変異原性の発がん物質を評価できる事を示す事ができれば、従来に無い全く新しい非変異原性の発がん性物質のスクリーニング系の確立につながる事になる。 また、この系が確立すれば、がん幹細胞を誘導する過程の解析が容易になり、誘導化過程における細胞のc-Myc、Oct3/4、Sox2、Klf4およびNanogの遺伝子発現挙動の特徴が分かれば、がんで亢進されているシグナル経路の複数種の阻害剤や血管新生阻害剤として開発された複数の薬剤でがん幹細胞化が誘導されるメカニズム解明の手がかりを得る可能性が有る。
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今後の研究の推進方策 |
各種のシグナル伝達阻害剤や抗腫瘍薬を用いてがん幹細胞化誘導を行い、細胞の経時的変化をDNAマイクロアレイや次世代シークエンス解析によって解析する。また、これまでにがんあるいはがん幹細胞マーカーとして報告されているCD44やp53、MMP2、CD133、CD24などの遺伝子やタンパク質の発現解析を行う。 これまでの予備試験結果からは、がん幹細胞へと分化誘導した時点では、遺伝子の大きな変異を伴わないと考えられるが、実際のゲノム変異について、既知の変異との比較、また、染色体解析を行う計画である。 さらに、ヒトiPS細胞を用いてマウスと同様の試験を進めて、マウスとの比較を行う。先ずは、マウスで候補として選抜された化合物を用いてヒトiPS細胞からがん幹細胞化誘導を行う際の効果の有無を細胞の形態とレクチン(rBC2LCN)染色によって評価する。 DNAのメチル化、ヒストンのアセチル化を中心としたエピジェネティック解析を行い、発現が影響を受ける遺伝子を探索する。
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