研究課題
<研究の目的>子宮頚がんの発症はヒトパピローマウイルス(HPV)感染が原因である。HPVの標的遺伝子としてはp53やRB1が重要であるとされているものの、p53やRB1の不活化のみでは早期からの子宮頸がんの発症を再現できず、それ以外の遺伝子異常の存在が示唆されていた。また近年がん抑制シグナルとしてHippo経路が見出されたが、子宮頸がんにおけるHippo経路研究の報告はまだ見ない。我々はHPVの主な標的がHippo経路である可能性を示すとともに、子宮頸がんへの新たな治療戦略の提示によって社会に貢献する<研究成果>平成26年度には(1)子宮特異的なMOB1欠損マウスに早期子宮頸がん上皮内がんを全例にみること、(2)子宮特異的MOB1欠損は増殖亢進、未分化性亢進、YAP/TAZの活性化をみること、(3)ヒト子宮頸がんにおいては全例YAPが活性化していることを見出した。また平成27年度には、(1)HPVE6E7によってYAPの活性化やP53の減弱をみること、(2)子宮特異的なMOB1欠損マウスではYAPは活性化するものの、P53も発現亢進すること、p53発現亢進の原因は核の多倍体異数体形成によることが示唆された。しかしその後、マウス飼育施設に原虫感染事故が起こり、マウスを殺処分するとともに再度一から交配をはじめ、さらに所属の異動に伴ってマウスを移動する必要がでたために、研究費は平成28年度に繰り越した。その後平成28年度には、(1)MOB1とP53の二重欠損マウスには子宮頸がんの増悪変化をみること、(2)HPVE6E7によってP53が発現抑制される機構の一端も明らかにすることができた。今後は交配が遅れているHPVE6E7トランスジェニックマウスによる子宮頚部異形成の発症とそのYAP依存性、及びYAP活性抑制剤の効果判定の結果を待って投稿及び特許取得予定である。
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