腫瘍形成における宿主免疫の役割を、TDAG8受容体欠損マウスを用いて解析した。その結果、化学発がん物質3-メチルコラントレン(3-MCA)の投与による腫瘍形成は、野生型の9割に認めたが、TDAG8欠損型では半減した。しかし、免疫組織学的検討で腫瘍組織へのCD3+T細胞など免疫細胞の浸潤に違いを認めず、また、3-MCA誘発マウス繊維肉腫細胞株(MC57G)の接種による腫瘍形成や、MC57Gによって誘導される細胞障害活性に野生型とTDAG8欠損型で違いを認めなかった。以上から、TDAG8欠損型での腫瘍形成抑制は、直接的な細胞障害活性の違いではなく、宿主免疫の間接的な調節機構によるものと推定された。
|