研究実績の概要 |
腫瘍モデル組織内水分子に対して、異なる3種領域(スピン緩和、中赤外、遠赤外)に於ける分光技術(MRI, FT-IR, Far-infrared)と、従来の組織ヘマトキシリン・エオジン(H6E)染色像の接点において癌悪性度の高い領域に特徴的壊死部との相関性が明らかにできた。 (1) その水分子に関する水素結合の長さに起因する事は、新たに開発した鮮度保持セルホルダー付赤外顕微分光画像により、腫瘍壊死部には水素結合(O-H)の長い水分子が多く存在している事を判明した。 (2) また、遠赤外領域の200-600GHzでの水分子間の誘電緩和寿命の長い成分が腫瘍壊死部に多いことも判明した。 (3) 現在癌診断に汎用性の高いMRIにおけるスピンースピンT2-横緩和状態の協調画像領域に於いては、H&E染色による腫瘍壊死部に大変良い相関性を示していることがフラクタル次元解析により判明した。 従って、臨床癌診断のMRI-T2強調画像領域には癌悪性度に特徴的壊死部が存在し、水素結合の長い自由水に近い状態で存在していることが結論できた。
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