エキソソームは細胞が放出する30nm-100nmの小胞であり、細胞由来のmiRNAやmRNAを含んでいることから、がんや様々な疾患の診断への臨床応用に期待が集まっている。本研究課題では、肺がん細胞、大腸がん細胞、乳がん細胞を用い、カウンターセレックス法により、それぞれの癌細胞由来のエキソソームを識別する核酸アプタマーの取得を目的とした研究を行った。 初年度においては、それぞれの細胞株から大量にエキソソームを調整を行うと共に、エキソソームの精製法について検討を行った。その結果、限外ろ過(100kDa)の精製を行い、その後にInvitrogen社のエキソソーム精製キットを用いる方法が、精製度が高く、収率も高いという結果が得られた。さらにネガティブセレクションの条件をEGFRに対するアプタマーとEGFRポジティブおよびEGFRネガティブのエキソソームを用い検討を行った。 最終年度においては、それぞれの癌細胞由来のエキソソームを用いて、特異的なアプタマーの取得を試みた。ニトロセルロースフィルターを用いたこれまでのセレクション法により、アプタマーの取得を試みた。数回の実験を行ったが、次世代シークエンサーによる解析、および結合実験から、エキソソームを認識するアプタマーを得ることができないことが分かった。そこで、効率を上げるために、エキソソームを認識するCD68抗体を結合する磁気ビーズを用いたセレクション法の検討を行い、アプタマーの取得を試みた。その結果、数種類の大腸がん細胞由来エキソソームを認識するアプタマーを取得することができた。今後、その親和性、および、他のがん由来のエキソソームに対する結合に関して確認していく予定である。
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