4T1乳がん細胞株の中でも特異的に強い免疫原性を持つ4T1-Sを同定した。比較対象として、ATCCから入手した4T1-Aを用いた。同細胞に特異的に発現する分子、特に抗原を検索する意味で、4T1-Aと4T1-SのゲノムDNAをmRNAを次世代シークエンサーで比較した。その結果、十分な発現量があり、mutationを持つ遺伝子が4つ同定された。そのうち一番発現量の高かった分子のcDNAのシークエンスを改めて行ったが、mutationを持つ分子としては発現が見られなかった。ついで2-4番目の分子について検討を行う。4T1-S細胞の免疫学的特性をさらに解析し、T細胞依存性に腫瘍の拒絶が起きること、接種した場合所属リンパ節の腫脹が起き、CD8陽性T細胞やCD11b陽性細胞の増加が見られること、遠隔リンパ節ではそのような反応が見られないことが分かった。今後は、mutation を持つ分子が抗原として提示されるのか、またその分子により上述したような免疫反応が起きるのかどうかについ確認する必要がある。
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